2005 Fiscal Year Annual Research Report
希土類元素添加ナノ酸化チタン薄膜の相制御と赤外発光デバイスへの応用
Project/Area Number |
16560016
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Research Institution | TOYO University |
Principal Investigator |
小室 修二 東洋大学, 工学部, 教授 (90120336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
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Keywords | ナノ結晶 / 酸化チタン薄膜 / レーザーアブレーション / 赤外発光 / 光触媒効果 / エルビウム |
Research Abstract |
今年度の研究成果は以下のようにまとめられる。 1、母材励起による可視および赤外発光分光測定 作成されたナノ微粒子を含むアナターゼ(nc-A-TiO_2)薄膜およびルチル(nc-R-TiO_2)薄膜の発光分光測定を行った。nc-A-TiO_2薄膜の発光測定から、波長400nm近傍にバンド間発光と約520nm(緑色発光)にピークを持つブロードな発光を観測した。この新たに出現した緑色発光遷移は、光触媒反応に起因したもので、酸素欠損によって生じるドナー準位からの発光遷移である。nc-A-TiO_2膜の発光減衰過程には2つの成分があり、バンド端発光成分の減衰時定数が約10ns、ドナー準位からの発光成分の減衰時定数が約100nsである。 nc-R-TiO_2薄膜では、バンド端発光に相当する1つの成分からなり、その減衰時定数が約10nsである。以上より、nc-TiO_2薄膜における光励起キャリアの再結合モデルを提示した。また、Erを添加したnc-A-TiO_2(nc-A-TiO2_:Er)薄膜から、可視域および近赤外域において室温でEr^<3+>イオンの内殻遷移に起因した発光が観測された。可視域では鋭い輝線の緑色発光スペクトルが観測された。これらはEr^<3+>イオンのシュタルク分裂に起因した鋭い発光線であり、約530nm、約560nm、約660nmの発光輝線はそれぞれ各励起準位から基底準位への発光遷移^2H_<11/2>→^4I_<15/2>、^4S_<3/2>→^4I_<15/2>、^4F_<9/2>→^4I_<15/2>に対応している。また近赤外域では、Er^<3+>イオンの^4I_<13/2>→^4I_<15/2>の発光遷移による1,534μmの鋭い発光輝線が観測された。 2、赤外発光の励起スペクトル測定 オプティカルパラメトリック発振器(OPO)を用いて、nc-A-TiO_2薄膜において観測された1.534μm赤外発光の可視領域での励起スペクトルを測定し、その励起・発光機構を検討した。観測波長を1,534μmと固定し、OPOの走査波長を600nmから440nmまで変化させたときに、547nm、522nm、489nmに鋭い吸収が観測された。これらは、Er^<3+>イオンの基底状態からそれぞれ各励起状態^4I_<15/22>→^4S_<3/2>、^4I_<15/22>→^2H_<11/2>、^4I_<15/22>→^4F_<7/2>への吸収遷移として理解される。
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Research Products
(6 results)