2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素によって表面終端されたナノ結晶シリコンの生成機構と光物性
Project/Area Number |
16560018
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 助教授 (30203582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 陽 甲南大学, 理工学部, 教授 (30278791)
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Keywords | ナノ材料 / 結晶成長 / 半導体物性 / 表面・界面物性 / 量子ドット |
Research Abstract |
当該補助金によるこれまでの研究から水素中でのレーザーアブレーションによるナノ結晶生成過程と水素化過程の全貌が明らかになってきた。水素抑圧を変化させてもナノ結晶の一次粒径はほぼ一定であり変化するのは二次構造である。この二次構造は特にガス圧の高いときには自己相似性を持つフラクタル構造となる。この構造からナノ結晶の生成過程を考察すると水素ガス圧はプルームの大きさをコントロールするパラメーターとして作用しプルームの大きさと基板位置の関係が本質であることが明らかになった。プルームが基板位置よりも十分に小さい場合にはプルーム内部で生成したナノ結晶同士が衝突しクラスタークラスター凝集を始める。この形成された凝集構造は繊維状の形態を示しこれが基板に到達する。プルームが大きくなるとナノ結晶が基板上で堆積し基板上に柱状の凝集構造を形成する。これらの結果はガス圧と基板間隔の制御によって凝集構造を自在に変化しうることを示す。得られた試料の一次構造は水素化シリコンのナノ結晶ではなく水素で表面が覆われたナノ結晶である。これは水素とシリコンの結合が高温では安定ではないことが原因である。放出原子種が冷却されナノ液滴が形成されるがその温度は高く水素はこの液滴の中には取り込まれない。水素化はこのナノ液滴がナノ結晶に冷却した後に起こるために表面のみにとどまる。この表面のSi-H結合の振動を赤外吸収によって観察すると酸化過程の議論が可能となる。自然酸化と発光波長の相関から自然酸化過程で形成される表面欠陥が発光中心になっていることが明らかになった。さらに表面水素による構造安定化が二次構造の凝集を防ぎ光学バンドギャップが変化することが明らかになってきた。上記のように表面水素化は表面構造の安定性を通して光物性に大きく影響する。
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Research Products
(6 results)