2006 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学を用いたミクロンスケール結晶成長シミュレーションの開発
Project/Area Number |
16560023
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70183001)
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Keywords | 第一原理計算 / 動的モンテカルロ法 / シミュレーション / 量子ドット / エピタキシャル成長 / InAs / GaAs(001) / GaN / ZnO |
Research Abstract |
基板の広い範囲を扱う必要のあるエピタキシャル成長のシミュレーションに第一原理計算の結果を採り入れる理論を、モデルとして基板表面上を移動する各原子の感じるmigration barrier potentialを第一近接原子と第二近接原子とで記述するものを提示し、それに沿って様々な系で具体的な計算を行った。研究成果の大部分は既に2007年初頭までに論文として出版された。 代表的な成果としては、青色発光材料としても仕えるワイドギャップ半導体酸化亜鉛の成長に関する諸研究で、ホモ系はもとより、サファイア(0001)基板上、6H-SiC(0001)基板上、窒素終端GaN(000-1)基板上でのZnOの成長の素過程とそれに関連してエピタキシャル成長における極性制御を第一原理計算で予測。また、ZnO(000-1)面上のGaNのヘテロ成長における極性制御も第一原理計算によって予測。これは実験がまだ十分でない領域なので、理論計算からの予言となっている。ZnO(0001)についてZn原子や酸素原子の感じる結合エネルギーを様々な配置での第一原理計算から求め、動的モンテカルロ法シミュレーションに用いるパラメータを決定してエピタキシャル成長シミュレーションを実行したところ、実験とよく合う結果を得て、第一原理計算と動的モンテカルロ法による結晶成長シミュレーションとを融合させる道が開かれた。また、GaN(0001)のホモエピタキシャル成長については動的モンテカルロシミュレーションのパラメータを各原子への原子間力の第一原理計算から求め、成長シミュレーションを行った。これらは既に応用物理学会で発表済みで、近く論文にして投稿する予定である さらに、InAs/GaAs(001)表面で量子ドットが形成される場合に、最初に表面最上層にSbを導入しておくと形成されるInAs量子ドットが高密度で均一になるという実験結果を受けて、エピタキシャル成長シミュレーションの前段階として、まずGaSb/GaAs(001)の構造を第一原理計算で求め、これを東大でのその場観察STMの結果との比較で見て、実験と一致することを示した。 また、一般に成長しやすいと言われる化合物半導体の無極性表面の代表とも言えるGaAs(110)の成長を、以前に計算した第一原理計算によるGa原子、As原子の動きのバリアーエネルギーの結果を踏まえて、動的モンテカルロ法計算を行い、数十ナノというかなり大きなスケールで「魚」型の実験では既に観測されている窪みが計算上も再現されることを見いだした。 研究成果の一部は18年6月にウィーンで行われた半導体物理国際会議と、同年9月にイタリアのBonassolaで行われた量子ドットの国際ワークショップで発表し、特に量子ドット会議で研究成果は大きな反響を呼んだ。
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Research Products
(6 results)