2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能性単-分子の力学的検出の目指す極限空間/時間分解能プローブ顕微鏡の開発
Project/Area Number |
16560027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
影島 賢巳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90251355)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 力センサー / 水晶振動子 / 周波数変調 / 粘性 / 生体分子 / 固液界面 / プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、生体分子や固液界面の溶液環境での高分解能観察可能な原子間力顕微鏡を実現することを目的としている。昨年度、長辺振動型水晶振動子を防水ハウジング内に収納し、探針だけを液中に露出させた、溶液中で自励発振・自己検出可能なセンサーを提案した。さらに、感度を改善させるべく、弾性定数を以前のものの約25パーセントに抑えた水晶振動子を特注で製作していたいので、本年度は、これをセンサーに加工してその特性を調査した。ここでは、このタイプのセンサーのもう1つの大きな利点である小振幅動作の特性についても考慮して特性を解析した。このセンサーのQ値は、大気中で6000程度であったのに対し、水中に導入するとおよそ4000程度となり、Q値の平方根に反比例する感度は、大気中の80パーセント程度を達成可能なことがわかった。また、熱振動によるセンサーの振動を検出した電気信号の大きさから、典型的な動作状態におけるセンサーの振動振幅は0.1nmのオーダーと、非常に小さいことが判明した。これは、従来式のカンチレバーに比べて、1-2桁小さい振幅でセンサーを振動させうることを表わしている。一般に従来のカンチレバーセンサーは、大振幅振動の軌跡中で受ける力学的相互作用を積分しているため、探針-試料ポテンシャルの形を正確にトレースできず、力情報の正確な抽出が困難であったが、本研究のセンサーは、小振幅振動のため、理想的な変調が実現されていることがわかる。これらの成果については、2つの国際学会において発表している。来年度は、小振幅動作可能だが弾性定数が高いため高感度化が困難な長辺振動型に変わる、別のタイプの水晶振動子の使用も視野にいれ、更なる感度の向上を期する予定である。
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