2006 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー粒子を弁別して検出する特性を持つカラー写真を用いた放射線検出器の開発
Project/Area Number |
16560041
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久下 謙一 千葉大学, 工学部, 助教授 (10125924)
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Keywords | 高エネルギー荷電粒子 / 放射線飛跡検出 / 重粒子線がん治療 / 核破砕反応 / 粒子弁別 / 銀塩写真感光材料 / 金沈着現像 / 高解像度 |
Research Abstract |
銀塩感光材料を用いて、高エネルギー荷電粒子の検出と弁別を試みた。重粒子線ガン治療における高エネルギー粒子の核破砕反応と、それによる被爆の解析には、破砕片を個々に検出して、同定することが必須である。 高エネルギー荷電粒子の弁別には古くから銀塩感光材料が用いられてきた。ここでは銀塩感光材料そのものとその現像処理法との改良により、荷電粒子の精細な弁別を試みた。銀塩感光材料による放射線検出には、(1).フィラメント状銀粒子の形成による飛跡像のぼけ、(2).解像度向上に伴う光学顕微鏡分解能以下の細い飛跡像の出現、(3).現像処理液での有害な薬品の使用などの欠点がある。 これらの欠点改良のため、金沈着現像法を適用した。この方法では放射線の感光部に金原子を析出させて金微粒子で飛跡を形成するが、金微粒子はフィラメント状にならず、サイズコントロールが可能なので飛跡像サイズのコントロールも可能であり、現像液には有害薬品を含まないなどの長所がある。グレインデンシティやUTS測定に適用したところ、従来の現像法と比べて測定精度が向上した。 また、ハロゲン化銀粒子粒径を段階的に変化させて、エネルギーロスを段階的に減少させることにより、荷電粒子の電荷とエネルギーの違いを反映した検出限界を持つ感光材料システムの可能性を探った。粒径と現像法を変えることで、荷電粒子の検出限界を段階的に変えることができ、これより全荷電粒子の弁別への展望が開けた。 さらに、カラー現像を用いた色分け弁別を試みた。カラー現像処理の工程で漂白処理を除外することで、現像銀と色素雲の形成を同時に行い、現像銀像で飛跡の精細さを保持するとともに、現像銀粒子を色素雲で着色することで現像銀の区別を図り、グレインデンシティの精細な測定を可能にした。
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Research Products
(3 results)