2004 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症診断のための近赤外線水分計による関節軟骨の含水量測定法の開発
Project/Area Number |
16560063
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田邊 裕治 新潟大学, 工学部, 教授 (60143020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 信 新潟大学, 医学部, 教授 (80215657)
大森 豪 新潟大学, 超域研究機構, 教授 (70283009)
小林 公一 新潟大学, 医学部, 助手 (70296317)
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Keywords | 生体力学 / 関節軟骨 / 変形性関節症 / 近赤外線分光分析法 / 押込み試験 / 吸光度 / 透水率 / Mankin Score |
Research Abstract |
ヒト正常関節軟骨(以下,正常軟骨)およびヒト変形性関節症軟骨(以下,OA軟骨)に押込み試験を行い,押込み試験後の経時的な近赤外線吸光度(以下,吸光度)の回復を測定した. 吸光度は,試料に照射した近赤外線の減衰率であり,本研究ではこの吸光度を含水量の指標とした.試料はヒト正常大腿骨頭関節軟骨およびヒトOA膝関節軟骨を使用した.各試料をOuter Bridge肉眼分類によってGrade 1〜4に分類した後,直径8mmの骨軟骨柱とし,それぞれに対して約200Nの荷重で押込み試験を行った.その後試料の周辺から水を再吸収させ,負荷前および押込み荷重除荷直後からの吸光度の経時的変化を近赤外線水分計で測定した.さらに各試料の変成度を組織学的評価指標(Mankin Score)を用いてランク付けし,吸光度の経時的変化とMankin Scoreとの対応関係を調べた. 正常軟骨(Grade 1)の吸光度は押込み荷重除荷後もしばらく吸光度が減少し,その後増加して23分でほぼ一定になった.OA軟骨では変性が進むにつれ吸光度が一定になるまでの時間は短くなり,最も変性の進んだ試料(Grade 4)では,押込み荷重除荷後2分で吸光度が一定となった.また,吸光度が減少から増加に転ずるまでの時間とMankin Scoreに負の相関が認められた. 正常軟骨の吸光度は比較的長時間かけて回復したのに対し,OA軟骨では変性の進行とともに吸光度が迅速に回復した.変形性関節症における軟骨変性では,軟骨基質の構造は破壊され透水率が増大する.そのため,変性の進んだ軟骨では押込み荷重除荷後の水の回復が迅速となったと考えられる.一方,正常軟骨では,押込み試験によって水分が一旦組織外に流出し,その後組織のひずみのみが先に回復するものの水分の供給が追いつかない.その結果,見かけの含水量が低下し,吸光度が減少したものと考えられる.
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