2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収性複合材料のナノ構造と破壊特性に関する研究
Project/Area Number |
16560074
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (80274538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 和夫 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (00151150)
竹之下 康治 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (50117157)
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Keywords | 生体吸収性 / ポリL乳酸 / ヒドロキシアパタイト / ポリカプロラクトン / ナノ構造 / 破壊靭性 / 相構造 / 相溶性 |
Research Abstract |
平成17年度の研究では,骨の主成分であり生体親和性に優れるハイドロキシアパタイト(HA),生体吸収性に優れるポリL乳酸(PLLA),生体吸収性・適合性を有するポリカプロラクトン(PCL)の3種類の材料を複合化し,破壊特性,破壊メカニズムについて調べた.また,PLLA/PCLブレンドの相構造改善を目的とし,リジントリイソシアネート(LTI)と乳酸とカプロラクトンの共重合体(PLLA-CL)を用いてブレンドを作成し,破壊特性評価ならびに相構造と破壊メカニズムの関係について考察した.得られた結果は以下の通りである. (1)HA/PLLA/PCL複合材料 HA/PLLAと延性的吸収性高分子PCLの複合化を試みたところ,PCLが5wt%でHA/PLLAよりすぐれた破壊靱性を示すことが明らかになった.そのメカニズムは,PLLAとPCLの絡み合い構造による延性変形の増加である.PCL含有率が増加するとPCLが球晶を形成し,その球晶が応力集中体として働くため破壊靭性は低下していくことがわかった. (2)PLA/PCL/LTIブレンド PLA/PCLブレンドの相構造を改善するために,LTIを0.5wt%添加して破壊特性に及ぼす影響を調べた.その結果,破壊靭性Jinの向上については,PCLの含有率が10wt%以上で効果があらわれ,含有率が10wt%が最大で50%ほどの向上を示した.また,破壊エネルギーJfについては,PCLが10wt%以上で大きな向上を示し,PCLが15wt%では2.5倍もの増加を示した.構造観察よりLTI添加による混合状態の改善は明らかであり,PCL球晶サイズの減少が観察された.それにより応力集中体が軽減し連続相におけるPCLの絡み合いが増加したため,延性変形が増大したものと理解できる. (3)PLLA/PCL/PLLA-CLブレンド LTIの生体適合性は不明であるため,生体吸収性・適合性に優れるPLLA-CLを第3成分として混合したところ,PLLA/PCLの破壊特性を向上できることが明らかになった.その詳細については今後の検討課題である.
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Research Products
(6 results)