Research Abstract |
研削加工の仕上げ面の良否は,砥石作業面の砥粒分布・形状によって大きく左右されることから,作業面の砥粒の分布・形状を定量的に把握する手法の確立が求められている.本研究では,砥石作業面の画像をパーソナルコンピュータに取り込み画像処理を行うことで計測する.今年度は,砥石メーカの協力により特許出願(公開番号2004-042158;米国では権利化)している画像処理が容易になる構造を有する研削砥石を製作し,それを用いて実際に作業面の解析を行った.その結果,考案した構造を有する研削砥石を用いた場合,砥粒とその他の部分での色度濃淡分布に顕著な差が見られ,レジンボンド,メタルボンドの両結合剤の場合も約95%の精度で砥粒の抽出が可能で,砥粒の分布や砥粒形状を定量的に把握できることがわかった.この値は,従来型構造のメタルボンド(約80%),レンジボンド(5%)と比較しても飛躍的に向上しており,十分実用化できるレベルに達していると判断できる.また,研削に関与する砥粒切れ刃部分の正確な抽出には,落射照明による画像解析が有効であることを明らかにし,さらに,落射照明の光量を増加することにより,砥粒の中でどの程度が研削に関与(砥粒切れ刃)しているかも画像処理で計測できることがわかった.なお,本年度は,研削特性を解析するのに必要な研削抵抗を測定する研削動力計(佐藤マシナリー製:AST-ZGS-1)を研究費補助金で購入した.さらに,これらの研究成果は,学術講演会(2件)でも報告している. 今後の研究内容の方向性としては,平成18年度は,考案した研削砥石を用いて実際の研削過程における砥石作業面の変化を詳細に追跡し,その変化過程を画像処理を用いて定量的に明らかにする予定である.
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