2005 Fiscal Year Annual Research Report
人工股関節の長寿命化を目的とした非球面化骨頭の創生
Project/Area Number |
16560124
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
今戸 啓二 大分大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (80160050)
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Keywords | Artificial joint / contact pressure / FEM / conformal contact / coefficient of friction / Machining Direction |
Research Abstract |
厚肉球殻の理論を拡張して適用することで,球面軸受である股関節の骨頭とカップ間の接触圧力を求める軸受方程式を導出し,さらに接触圧力が球面上に分布する球面軸受での摩擦係数と摩擦トルクの関係式を導出した.CoCrMo平板対超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ピンの往復動滑り摩擦実験から,摩擦係数はピン端面である摩擦面のエメリーペーパーによる表面仕上げ方向と,滑り速度方向のなす角度に強く影響されることを実験的に明らかにした.両者が平行の場合,すなわち滑り速度方向と表面仕上げ方向の交角が0の場合に,摩擦係数は最大になり,交角の増加とともに摩擦係数は非線形に減少して,滑り速度方向と表面仕上げ方向が直交する場合に摩擦係数は最小となる.最大値と最小値の比はほぼ2となった.摩擦係数が小さい値を示す範囲は,交角が直交する状態から±40°と比較的広いため,この現象を利用すると人工関節の潤滑状態を改善できる可能性がある.以上の実験結果をまとめると,UHMWPEとメタルとの摩擦係数は,接触圧力の大きさ,滑り速度方向に対する接触圧力分布の形状,滑り速度方向と摩擦面の仕上げ方向とがなす角の影響が複合的に影響していることが明らかになった.その中で最後のファクターである,ポリエチレンの表面形状については現在の人工関節には改良の余地が十分あると考えられる.事実オイルシールではリップに微細な模様を付与することで潤滑状態と密封性を両立させており,多方向滑り状態にある人工関節にも類似の技術を応用できる余地は十分あると思われる.
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Research Products
(6 results)