Research Abstract |
一連の吸・脱着工程における吸着器内の温度特性を解明できた.熱源水は,まず入口温度が変化し,続いて出口温度が入口温度に近づいていくことがわかった.本実験装置で用いたフィン付き熱交換器は銅製であり熱伝導性に優れているので,フィン先端の温度は出口温度に追従していくことが確認できた.サイクルタイムを長くとった場合,フィン先端温度は準定常状態に移行することが分かった.脱着行程における吸着器内温度は,吸着剤より脱着されたエタノール蒸気の影響を受けて,徐々に上昇しつづける.一方,吸着工程ではフィン付き熱交換器による冷却および蒸発器から流入する低温のエタノール蒸気の影響で,器内温度は緩やかに下降する.吸脱着開始直後は急激な変化を示すが,その変化は瞬間的なものであり,温度変化は緩やかになることが解明できた. 一連の吸・脱着工程における吸着器内の圧力特性を解明できた.予熱工程開始直後にエタノール蒸気が吸着剤から脱着することにより,急激な圧力上昇を示した後,準定常状態を示す.脱着工程では,予熱工程で脱着したエタノール蒸気が凝縮器へ移るため,工程開始直後に急激な圧力降下を示す.この圧力降下を終えると,準定常状態に移る.予冷工程では,器内に存在するエタノール蒸気が吸着剤に吸着するため,急激な圧力降下を示す.吸着工程では,工程開始直後,蒸発器のエタノール蒸気が吸着器へと供給されるので急激な圧力上昇を示すが,一定時間経過時(300s)には,準定常状態に移行する. 吸着器の交換熱量,吸着器の正味脱着熱量の時間変化および平均脱着熱伝達率の時間変化より,脱着量は予熱工程開始直後にピークをむかえ,その後急激に低下した後,徐々に減少していくことがわかる.このことから,脱着熱の大半は工程開始直後に得られることが考えられる.凝縮器の交換熱量の変化にも同様な傾向が見られることがわかる.これらのことから,吸・脱着サイクルタイムは,短く(300s)取ることが望ましいという知見を得た.また,これらの研究成果は,2つの国際雑誌に投稿,掲載された.
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