2004 Fiscal Year Annual Research Report
気孔率の大きい多孔体中における相変化流体の自然対流に関する研究
Project/Area Number |
16560200
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
椎名 保顕 特殊法人日本原子力研究所, 核熱利用研究部, 主任研究員 (50355020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 誠 千葉大学, 工学部・電子機械工学科, 教授 (10291296)
石山 新太郎 特殊法人日本原子力研究所, 核熱利用研究部, 主任研究員 (60355021)
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Keywords | 多孔体 / 自然対流 / ダルシー流れ / 臨界レイリー数 / 浸透度 / ベナール対流 / 熱伝達 |
Research Abstract |
○研究目的…本研究は相変化流体中に金属細線を挿入して実効熱伝導率を増大させて伝熱促進を行う場合、融解時には同時に自然対流も抑制されるため、気孔率の高い多孔体が自然対流発生および伝熱特性に及ぼす効果を調べるために行う。 ○研究方法…臨界レイリー数を求める解析および実験により本実験を行う。本年度は(1)線型安定性理論を用いた自然対流発生臨界レイリー数の解析(2)自然対流実験装置の製作・予備実験(3)浸透度測定実験装置の製作・実験を行った。成果は以下の通りである。 (1)線形安定性解析……水平の上下伝熱面を横断して円柱細線が鉛直に均一に張られた場合の多孔体水平流体.層の浸透度を、球を充填した多孔体流路の浸透度解析の手法を適用して解析的に求めた。その浸透度を用いて自然対流流れがダルシー流れと仮定できる場合の下面加熱上面冷却のベナール対流の臨界レイリー数を線型安定性理論により求めた。その結果によると、球充填の場合と比較すると浸透度が等しい場合は臨界レイリー数は低くなる。 (2)上記理論を検証するため、また、ダルシー流れが成立しないと考えられる気孔率が1に近い場合における実際の臨界レイリー数を得るため、及び熱伝達率測定のため、自然対流実験装置を製作し予備実験を行った。その結果、多孔体を挿入しない場合には、臨界レイリー数は従来の線型安定性解析により得られる臨界レイリー数とほぼ一致することが確認された。 (3)浸透度解析結果を検証するためおよびダルシー流れが成立する気孔率範囲等を調べるため、浸透度を測定する実験装置を製作し、実験を行った。その結果、気孔率が約0.84以下であれば理論と実験はほぼ一致すること、気孔率が高くてもダルシー流れは成立するが、その場合の浸透度は従来の理論とは一致しないことが示された。また、流速が高くなるとダルシー流れは成立しなくなるが、その臨界レイノルズ数は従来の管内流の乱流遷移の値より遙かに低いことが示された。
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