2005 Fiscal Year Annual Research Report
気孔率の大きい多孔体中における相変化流体の自然対流に関する研究
Project/Area Number |
16560200
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
椎名 保顕 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門・核熱応用工学ユニット, 研究主幹 (50355020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 誠 千葉大学, 工学部・電子機械工学科, 教授 (10291296)
石山 新太郎 日本原子力研究所, 核熱利用研究部, 主任研究員 (60355021)
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Keywords | 自然対流 / 多孔質物質 / 熱伝達 / 臨界レイリー数 / ベナール対流 / 浸透度 / 気孔率 |
Research Abstract |
水平流体層内に高い空隙率で金属細線を垂直に配置した場合の自然対流発生および伝熱特性を解析的及び実験的に調べ、以下の成果を得た。 (1)線形安定性解析……水平の上下伝熱面を横断して円柱細線が鉛直に格子状に設置された場合の多孔体水平流体層におけるレイリー・ベナール対流の臨界レイリー数を線型安定性解析により求めた。円柱細線を横切るあるいは細線に平行な流れによる流動抵抗は、ストークス流れに基づく解析結果を用い、ダルシー流れを仮定した解析により臨界レイリー数を求めた。その結果、球を充填する場合と比べて、浸透度が等しい場合は臨界レイリー数は低くなることが示された。 (2)上記体系における自然対流の発生レイリー数、熱伝達特性を明らかにするため、水平流体層による実験装置を製作し熱伝達実験を行った。流体としてシリコンオイル、円柱細線として塩化ビニル等を用い、気孔率を0.82-1の間で変えて行った。その結果、気孔率が約0.97以上では臨界レイリー数は1707から大きく変化しない。しかし、気孔率が0.97より小さくなると臨界レイリー数は徐々に増加することが観察された。また、気孔率が減少すると、レイリー数の増加に対するヌッセルト数の増加割合も減少する。しかし、レイリー数を臨界レイリー数で規格化した無次元レイリー数を用いると、ヌッセルト数は気孔率に依存せず、レイリー数とともに増加し、ほぼ同じ曲線で表すことができることが示された。 (3)実験で求めた臨界レイリー数と理論値との比較を行った。ダルシー流れが支配的になるのは気孔率は約0.85程度以下であると考えられるため、気孔率0.82の場合について比較を行った。臨界レイリー数の実験値及び理論値はそれぞれ約6000-9000及び約4550であった。これらの一致は必ずしもいいとはいえないが、大きく離れてもいない。不一致の原因としては、円柱細線にあたる流れの非均一性の影響、実験の容器壁の熱伝導の影響等が考えられる。
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