2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形振動領域で動作する超音波モータ/アクチュエータの限界性能評価
Project/Area Number |
16560211
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
里信 純 広島工業大学, 工学部, 助教授 (40304406)
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Keywords | 超音波モータ / ランジュバン型振動子 / 非線形振動 / 縦振動 / ねじり振動 / 複合振動子 |
Research Abstract |
本年度は、超音波モータの限界性能を決定している要因が、大振動振幅時の振動子の非線形振動特性であることを明らかにするために、まず、ロータに接着された摩擦材と円環の接触モデルの差がモータの限界性能に影響しないことを示すための理論的検討を行った。摩擦材の軸方向接触に関して、従来の単純なばねモデルから粘弾性を考慮したモデルに拡張し、モータ特性の計算を行った結果、粘弾性を考慮すると、モータの効率はこれまでよりも低く見積もられるが、モータの回転速度、出力トルクは変化しないことが示された。つまりこの解析モデルでは、実験的に確認されている、モータの印加電圧増加に対して、モータの出力特性が比例増加しない現象は説明できないことが明らかになった。 次に、振動子の電気的等価回路モデルにおける内部機械損失抵抗が、振動速度の関数として変化する解析モデルを構築し、モータ特性の印加電圧依存性を計算した。内部機械損失抵抗は前年度に測定した、振動子にバースト状の電圧を印加した後の振動速度応答から求めたものを多項式近似したものを用いた。その結果モータの回転速度と出力パワーは印加電圧の増加と共に飽和する傾向が、また効率に関しては印加電圧の増加に対して低下する現象が確認された。一方、出力トルクは、以前のモデルでの計算結果と同様、印加電圧に比例して増加した。これらの結果から、モータの出力トルクは印加電圧を増加させれば向上する可能性があるが、他の特性はこれまでの解析モデルから見積もられるものより低下することが明らかになると共に、振動速度が印加電圧の増加に対して飽和傾向があることから、振動速度が材料の破断限度を超え、モータが破壊されるような状況で駆動することは、実際には困難であることも分かった。
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