Research Abstract |
グローブスキャンによる把持力の分析の結果,人間が物体を把持する時,最も力が加わる指は親指であり,物体の把持に大きく影響するのは親指,人差し指,中指の先端であり,薬指,小指は補助的な働きをしていることを明らかにした. そこで,既に製作した3指を平行移動させて物体を把持するハンドの構造を改良し,指先で力制御ができるように3指の機構設計変更,製作,実験をした.人差し指と中指は最大60度曲げて物体を把持できるようにし,これらの指と対向する親指は平行移動する機構にした.把持をする際の力点は,2指の指先と親指の全体とその付け根である.3指すべてを回転機構にせず,親指を平行移動としたのは,親指が確実に物体を押さえ,もう2指のほうで力制御を行うためである. これらの改良によって,空気の圧縮性を生かした3指による空気フィンガの駆動が可能になったが,比較のため制御弁を3指とも異なる種類を採用したため,3指の駆動にばらつきがでた.人差し指は圧力制御型サーボ弁で,駆動には高い圧力を必要とするが出力範囲が広いため,動作速度が遅く速度調整が容易で,把持力が大きかった.中指は流量制御型サーボ弁で,低い圧力で駆動させることが出来たが,出力範囲が狭く,速度調整が難しく,把持力は弱かった.親指は,3ポート電磁弁を採用し,減圧弁で圧力を調節して駆動させたため,低い空気圧でも駆動することができたが速度調整が難しかつた.また,把持する物体の大きさによっては,3指で物体を抱え込むような状態となり,手のひらに相当する機構を設ける必要があることも分かった.したがって安定な把持の実現のため,フォースクロージャの観点からの分析も必要であることが分かった. このような課題は残るものの,本研究により,空気圧制御でも人間の把持動作に近い指の動作と力制御が可能であることを明らかにすることができた.
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