2005 Fiscal Year Annual Research Report
至近距離での雷放電の電磁界観測にもとづく帰還雷撃のモデリング
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16560240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 勝 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40107397)
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Keywords | 雷放電 / EMP / 帰還雷撃 |
Research Abstract |
1.夏季に下向きリーダが先行する複数の落雷が期待できる鉄塔の近傍での電磁界観測を、栃木県鹿沼市において平成16年度、17年度の夏季に実施した。電磁界観測装置は、電流測定・カメラ観測のため計装されている100m級UHV送電鉄塔から100m程度の場所に設営し、無人で24時間運転された。しかしこの鉄塔での雷電流観測記録は得られず、至近距離の雷撃の電磁界データの取得も叶わなかった。この観測は世界のどこでも試みられておらず、きわめて意義深く重要なので、科学研究費による研究期間終了後も、鉄塔での電流観測が続けられる限り継続する計画である。 2.大地に直接落雷した場合と高構造物に落雷した場合の、放電路の等価性において矛盾がないと考えられる帰還雷撃の電磁界モデルを新たに提案し、それを用いて高鉄塔に落雷があった際の近傍の電磁界の発生様相を解析した。鉄塔近傍の数百mの範囲では、鉄塔の影響は電界、磁界で全く異なった様相を示すことが計算上予測される。電流、近傍の電界、磁界の同時計測が1度でも実現すれば、このモデルの妥当性が明らかになり、応用面で重要な、高構造物の遠方電磁界への影響についての議論にも終止符が打たれる。 3.公表されたロケット誘雷近傍の電磁界の観測結果を用いて、観測結果をかなりよく再現できる工学モデルを得た。後続雷撃の帰還雷撃電流波は、地上数mの上向き・下向きリーダの結合点から大地と上方に向けて進行を開始し、その速度は光速の数分の1で、大地面で電流波の反射が生じていることが推測される。 4.新たに提案した帰還雷撃の工学モデルと、第1帰還雷撃の特徴の、やや長い電流波頭長を組み合わせると、遠方の電磁界波高値と電流波高値の関係が、電流波頭長の短い後続雷撃とは異なってくることを見出した。これが電磁界観測により確認されれば、第1帰還雷撃電流の直接測定と電磁界による推定の相違点が解消される。
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Research Products
(2 results)