2004 Fiscal Year Annual Research Report
界面改質バリアーの微視的制御による積層型高温超伝導ジョセフソン接合の高性能化
Project/Area Number |
16560278
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺田 教男 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20322323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 哲治 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20347082)
小原 幸三 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10094129)
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Keywords | 高温超伝導体 / ジョセフソン接合 / 積層接合 / 界面制御 / 再結晶化 / 光電子分光 / 超伝導オーダーパラメーター |
Research Abstract |
本研究では厚さ1nm以下、且つ優れた耐性を持つバリアーを高温超伝導積層型接合の下部電極表面の原子オーダーの改質により実現することを主目的の1つとしている。今年度は、集積回路作製に適したプロセスと見なされているが、作成される膜の平坦性が他の手法と比べて劣っていたスパッタリング法によるc-軸配向YBa_2Cu_3O_7(YBCO)膜において均一な改質層を得るための超平坦表面の実現、そのAr^+ビーム照射による形状、電子構造変化の評価を行った。機械研摩により表面粗さを数nm以下とした通常のSrTiO_3、Mg単結晶を基板に用いた場合、低成長温度では異方的c-軸配向となり表面は平坦だが結晶粒間の結合が弱く伝導特性が劣化すること、760℃以上の高温成長ではa-軸配向結晶粒の混在が顕著となること、成長温度を750〜755℃の狭い範囲(スパッタ粒子の再蒸発が無い範囲で表面拡散速度が最高となる条件)に厳密制御した場合、平均自乗粗さ<.2.5nmとスパッタ膜としては高水準の表面平坦性とT_c(p=0)>80Kの超伝導性を有する良好な膜が得られること、が見出された。最適成長条件で形成された膜にもX線回折等では観測されないほど微細且つ矩形のa-軸配向結晶粒がわずかに混在しており、この突出のため、平均自乗粗さが小さいにも拘わらず最大凹凸は25nm程度であった。a-軸配向結晶粒はその長辺が基板の<100>、<010>方向に一致しており、その成長頻度と基板表面状態との関係が示唆された。そこで、表面を単位格子高さのステップと原子レベルで平坦なテラスとした基板を用いて、上記の最適条件で膜形成を行ったところ、a-軸配向結晶粒の混在はほぼ完全に抑制され、RMS≦1.5nm、最大凹凸〜数nmの最高レベルの平坦性と良好な伝導特性T_c(p=0)>81Kを持つ改質バリアーのプラットホームに適する膜が得られることが明かとなった。このような下部電極表面モフォロジーの制御の接合形成プロセスへの効果を調べたところ、通常基板上で最適化された表面でも、Ar^+照射により形成した改質層のエネルギーギャップ・表面被覆が均一となること、RMS<1.7nm、最大凹凸<15nmと接合形成に適当な範囲となること、RSJ型の特性が得られる歩留まりが大幅に向上すること等が見出され、この制御が積層接合形成に極めて有効なことが明かとなった。以上、接合高度化に向けた研究課題の1つである均質な界面改質バリアー形成手法が確立されたと言える。
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[Journal Article]2004
Author(s)
K.Ohki
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Journal Title
Proc.6th Euro.Conf.Appl.Suoercond. (Institute of Physics, Conference Series) 181
Pages: 1520-1525
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