2005 Fiscal Year Annual Research Report
窒化インジウムガリウムを用いた可視光高速光検出素子の研究
Project/Area Number |
16560313
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大澤 潤 豊田工業大学, 工学部, 助教授 (20176861)
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Keywords | 光検出素子 / 窒化インジウムガリウム / 窒化物半導体 / 可視光 / 高速動作 / ショットキー形ディテクタ / MSM形ディテクタ |
Research Abstract |
昨年度は、受光部1mm角の大面積素子で、100pA以下の暗電流、0.1A/W以上の受光感度、10ns台のパルス応答を確認した。本年度の実績は、「研究実施計画」記載の3項目に対応して以下のようにまとめられる。 1.厚さ2μmのGaN層を用いたMSM形素子において、表面入射と裏面入射での分光感度特性の相違を明らかにした。すなわち、360nm以下の波長域では裏面入射時にバイアス電圧依存性が顕著であり、これはGaN層中での空乏領域の広がりで説明でき、シミュレーション結果と一致する。一方、エネルギーギャップ以下のフォトン(370nm以上の波長)に対する感度比は裏面入射時の方が約2桁大きく、バイアスの影響は小さい。裏面からGaN層全体に浸透する光がギャップ内のエネルギー準位を介して光電流を生成するためと考えられる。 この効果を応用すると、20-50nmの薄いInGaN層を電極直下に形成して370nm以上の波長の光を有効に検出することが可能であり、青色光狭帯域光検出素子はこの考えを基に実現された。 2.Pt/Auショットキー電極特性のInGaN層の層厚依存性については、20nmおよび30nmでは一定の低暗電流が得られるが、50nmではバイアス電圧と共に指数関数的に増大する。しかし、受光感度は20nmの場合の約100倍で10A/Wを越える。これらは、GaN上にエピタキシャル成長したInGaN(In組成比15%)が格子歪みを緩和する臨界膜厚を超えたときに生ずる特性である。 また、MSM構造での光照射効果の詳細な検討と、ショットキー形フォトダイオードの試作・評価とから、薄いInGaN層にはピエゾ効果に基づく強い内部電荷が存在するため、特有の効果が得られることを見いだした。すなわち、バイアスの極性により、紫外光と青色光との弁別検出が可能であることが実証できた。 3.光持続電流の影響を周波数特性からも評価し、100kHz程度の遅い成分があることが分かった。
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Research Products
(4 results)