2004 Fiscal Year Annual Research Report
地震電磁界観測データの信号弁別と雑音除去に関する研究
Project/Area Number |
16560360
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
服部 克巳 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 助教授 (60244513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢崎 修弘 千葉大学, 理学部, 教授 (60107943)
早川 正士 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80023688)
長尾 年恭 東海大学, 海洋研究所, 教授 (20183890)
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Keywords | ISTF法 / wavelet変換 / 磁場データ / 電場データ / 弁別 / 時系列データ / slow slip event / 流体のチャンネル |
Research Abstract |
本研究を遂行するために、備品として平成16年度にトーション型磁力計およびデータ収録システムを1式購入した。また、解析すべきデータ量の増加に対応するため、研究室の計算機システムにRAIDシステムを購入し、システムの増強を実施した。 データ解析としては、リモートリファレンス観測点と観測点の間の相関を用い、ULF帯の外部起源の自然雑音に関する磁場データの再構成手法(Interstation Transfer Function ; ISTF法)を磁場データから電場データに拡張した。本手法では、wavelet変換(Morlet wavelet)を利用しており、transientな変動を含むデータに有効であり、日本のように直流電車路線や産業が発達した国では特に有効である。ISTF法では信号強度の大きくグローバルな太陽活動と地球磁気圏・電離圏起源の相互作用起源の信号が推定でき、観測信号からそれを差し引いた残差成分に人工雑音や地殻活動に関連する信号が含まれることになり、異常変動の解析が容易になるこの手法によって、地磁気誘導成分が卓越する時系列データからの地震に先行する異常変動の検出が容易になった。 また、定常の状態の電磁場環境を把握し、観測されたULF帯電磁場データ中のバックグラウンドや電車などの人工ノイズの到来方向や波形を同定することにより、既知のシグナルと未知のシグナルとの弁別を時系列データで逐次判定できる手法を調査検討した。南房総地域でSlow slip eventが発生した期間の清澄、札郷、内浦観測点で観測されたデータに適用したところ、奇妙な性質の信号が発見された。すなわち、地電位差の勾配を利用した方位測定では、電車信号やバックグラウンドの方向とも異なる到来方向を示し、また磁場データからは、観測点直下に流体のチャンネルがあるようなことを示唆するデータが得られた。本発見は現在論文誌に投稿中であり、また、得られた事実について現在、詳細な検討を行っている。
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Research Products
(4 results)