2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560365
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
犬塚 博 静岡大学, 工学部, 教授 (80176411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 俊一郎 静岡大学, 工学部, 教授 (10293599)
桑原 義彦 静岡大学, 工学部, 助教授 (00313932)
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Keywords | ウィグナー分布 / 車間距離センサ / マイクロ波 / FM-CW法 / クロス項 / 距離測定 / DSP / リアルタイム処理 |
Research Abstract |
マイクロ波車間距離センサは既に実用化され実際に高級車に搭載され始めているが、現実にはまだ二つの大きな課題が残されている。一つは精度の問題であり、もう一つはコストの問題である。その測定方式としては低コスト化の為にFM-CW方式やドップラー方式が専ら用いられるが、前方車両との距離が測定時間中に変動していると、それがそのまま誤差要因となり本質的に精度が上がられない欠点を持っている。FM-CW法では距離情報は信号の周波数スペクトルとして現れ、そのスペクトル解析が重要である。従来はこの部分にFFTが採用されてきた。その部分に非定常スペクトル解析の一つである時間・周波数分解能が高いウィグナー解析を採用して精度を上げるのが本研究の目的である。 ウィグナー解析を用いることで精度改善が期待できるにも関わらず、それが現実的には全く検討されてこなかったのは、ウィグナー解析にはクロス項と呼ばれる偽のピークを発生させる大きな欠点があり、その為、分解能の高さにも関わらず、従来のFFTを使用する場合よりも精度が悪くなることが予想されたためである。 我々は、その為に汎用に用いることが出来るクロス項の抑制法を開発した。これは、従来の事前情報が必要であったり肝心の分解能の悪化を引き起こすクロス項抑制法と異なり、事前情報なしに分解能を悪化させることなくクロス項を抑制する。この方式の採用により、車間距離センサにウィグナー解析が利用可能となると考えられる。 今年度は、まず、本研究の基本技術であるウィグナー分布のクロス項抑制法をさらに詳細に調べ、抑制がうまくいく条件を明確化すると共に、その方式の限界を探った。それらの結果は特許として申請すべく準備を進めている。 実験での研究においては、昨年度、マイクロ波の発振器を導入し、使用するマイクロ波掃引信号の再現性が改善されたが、テストを行う為の移動している前方車両の模擬装置部の再現性が低く、精度の高い実験が行えないことが明らかになっていた。そこで、モーター駆動の時速10km程度まで出せる前方車両の模擬装置を製作し、安定に再現性の高い実験が行えるようにした。そして、それを使って、解析方法の違いによる測定距離精度や誤差に与える影響を定量的に調べることができた。 さらに、昨年度製作した車間距離センサを対象としたFM-CW法のシミュレーションプログラムを使用し、FFTでの解析結果とクロス項を抑制したウィグナー分布により解析結果を比較し、その分解能や測定精度の改善具合を定量的に調べた。パラメータの最適化等が来年度に残された課題である。
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