2005 Fiscal Year Annual Research Report
制御系と機構系の有機的カップリングによる学習曲面の良設定化
Project/Area Number |
16560382
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 章夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90232280)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 年洋 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20214596)
|
Keywords | 創発 / 実時間学習 / 自律分散制御 / タンパク質の折り畳み / 学習曲面の良設定化 / 制御系と機構系の有機的連関 |
Research Abstract |
近年,ロボットの知能は,制御系単体から創り出されるものではなく,制御系と機構系,そして環境の三者間の相互作用を通して創発する,ということが認知されつつある.このことは,ロボットを設計する際には,その初動段階から与えられた機構系の特性を積極的に活用するような制御方策を検討するのみならず,制御方策の潜在能力を引き出すように機構系の特性をも併せて改変することの重要性を示唆している.これは換言すれば,ロボットの制御系と機構系の設計は分離独立して行うことができない,ということになる. そこで本研究では,制御系と機構系の有機的な連関のさせ方を,特に学習の観点から考察することを目的としている.具体的には, ●両システムの複雑性が調和した状態とはどのようなものか? ●両システムが調和した状態の下で学習を行わせると,どのような興味深い特性が創発するのか? といった事項を明らかにすることを目指している. 平成17年度では,これまで用いてきた車輪型モデルの発展として,長距離相関がより顕在化されるヘビ型ロボットを用いて考察を行った.具体的には,ロボットの移動距離が最大となるような位相関係への収束性が,制御系と機構系の連関形態によってどのように変化するかを数値実験ならびに数理的に考察した.その結果,体節間の力学的な長距離相関度合い(関節剛性)と情報処理的な複雑性(どこまで遠くの体節の情報を取り込むか)の間には,最適なミーティングポイントでも呼ぶべき組み合わせが存在することが確認された.プリミティブな結果ながらこのような連関形態の存在を明示的に確認したのは本研究が初めてであり,本研究が当該分野の今後の研究に与える意義はきわめて大きいと確信する.
|