2006 Fiscal Year Annual Research Report
非反証制御に基づく非線形複雑系に対するデータ駆動制御系設計法の構築
Project/Area Number |
16560384
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐伯 正美 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (60144325)
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Keywords | 非反証制御 / PID制御 / パラメータ空間設計 / 安定解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非反証制御に基づくデータ駆動型制御系設計法を構築することにある.以下の点を明らかにした。 1.非反証制御法に基づくPID制御器設計の多変数系への拡張 1入力1出力系に対する非反証に基づくPIDゲインの探索法は前年度でほぼ完成したので、これを多変数系に拡張する研究をおこなった。現在も進行中であり、何れ公開する予定である。この問題は線形計画法の問題に帰着できることが分かった。課題は制御器を限られたデータで効率的に反証することであるが、これは今後検討していく。 2.周波数応答に基づく多変数PID制御器の設計法の研究 H∞制御では対象が状態方程式で記述されることを前提としているが、周波数応答データのほうが与え易い制御系も多数ある。そこで、制御対象の周波数応答データが与えられるときに、H∞制約を満たす多変数PID制御器の設計法を構築した。これにより、より使い易い設計法が得られた。また、非反証制御は制御対象の知識を極力用いない方針であるが、この周波数応答もノンパラメトリックモデルであり、対象の次数やむだ時聞などを必要としないという意味で、研究の基本方針に従いかつそれを補うものである。 2.パラメータ空間における安定化PIDゲイン集合の性質 閉ループ系を安定化するPIDゲインの集合をパラメータ平面に描くことは、ゲイン調整を行ううえで貴重な情報を与える。それを求めるためには、安定領域の境界を含む線分を描き、それに基づいて安定領域の境界を見つける方法が採られる。従来は制御対象が伝達関数で与えられているとして、安定領域を数値計算で判別する方法が研究されたが、本提案法では周波数応答データが与えられるときに、計算せずに安定領域を見つけられる。具体的には、PI, PD, ID平面において、各周波数を増加させるときに線の片方が他方より閉ループ系の不安定極数が2個多いといった性質を明らかにした。これにより、制御対象の不安定極数が既知であればすべての領域における不安定極数を計算せずに知ることができる。
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Research Products
(4 results)