2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560389
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬部 昇 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (90216549)
|
Keywords | 分散制御 / H∞ノルム / 耐故障性 / パラメトリゼーション |
Research Abstract |
制御性能の評価関数を考慮しない安定化問題について、「独立設計」と「逐次設計」を統合する「繰り返し独立設計」の基本的な枠組みについて研究を行った.さらに,制御性能の評価関数としてH_∞ノルムを採用した場合の「繰り返し独立設計」についても研究を行った. 特に,下記2点が今年度の成果である. 1.サブシステムごとに異なる設計の難易度を考慮するためにbalancing factorを用いることを提案した.そしてその有効性だけでなく、balancing factor→0の極限で、従来、まったく相異なる設計手順として提案されていた「独立設計」と「逐次設計」を「繰り返し独立設計」という枠組みで統一的に扱えることを示した. 2.H_∞ノルムを評価指標とした設計問題においても、balancing factorが設計において有効であることを示した. 上記2点の成果は雑誌論文として採録された(2007年4月掲載予定、電子版は公開済み). 1.において提案した繰り返し設計の枠組みは,従来の二つの設計思想を完全に統合するものであり,大きな成果と考えられる.また,2.においては,代表的な制御性能の指標であるH_∞ノルムを評価関数として導入した場合には完全な統合ができず,制約付きの(数学的には条件付の)統合が可能なことも示し,従来提案されていた方法をほぼ包含する設計手順も提案した. また,関連研究として,分散制御系が有利とされる耐故障性を考慮した制御器の構造についても研究を行った.耐故障性を有する制御器は行列としてのランクが許容する故障の数に応じて低下する傾向があることを従来、数値例を通して示していた.今年度は状態フィードバックに限定して、ある条件化で低ランクの制御器が得られることを理論的に明らかにした.(国際学会発表済み)
|