2005 Fiscal Year Annual Research Report
多入力多出力系における遅延フィードバック設計論とその応用
Project/Area Number |
16560392
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小亀 英己 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60026341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 健太郎 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (00293902)
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Keywords | 遅延フィードバック / 微分フィードバック / 差分フィードバック / 実用安定性 / 安定化 / 微分差分方程式 |
Research Abstract |
研究代表者、研究分担者らは、カオス制御法として提唱された遅延フィードバック制御が倒立振子系など力学系の安定化に応用できることに着目し、その理論整備を行ってきた。遅延フィードバック制御では出力差分をフィードバックする形をとることから閉ループ系の安定性を確保するためには派生する微分差分システムの安定解析が必要である。このような観点から、安定化差分フィードバックを安定化微分フィードバックから演繹する可能性について検討したところ、このことは1入力系については常に正しいが、多入力系については条件が必要であり、遅延フィードバックでは安定化できない場合があることがわかった。問題は多入力をもつ系で安定化差分フィードバックを設計することであるが、研究課題のもとで昨年度は、出力の微分を観測できるという設定の下で動的安定化コントローラが与えられたものとして、微分を差分で近似して得られる近似差分フィードバックコントローラが閉ループ系の安定性を継承する条件を導き、この結果をオブザーバベーストコントローラに適用して、オブザーバゲインと状態フィードバックのゲインを含む簡潔な形で安定性継承条件を得ることができた。一般に得られた条件はフィードバックゲインとシステムゲインの積に対する固有値条件の形で与えられるため、閉ループ系の周波数特性との関係が明らかでなかった。本年度は相補感度関数を用いてこの点を検討し、相補感度関数がある拡張された有界実補題を満足すれば、差分の時定数に関わらず差分フィードバックで安定化できるという結果を得た。今後は有界実補題に基づく線形行列不等式条件を導き、さらにオブザーバゲインと状態フィードバックのゲインの適当な組み合わせを見つけるアルゴリズムの検討を計画している。
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Research Products
(1 results)