2004 Fiscal Year Annual Research Report
津波・高潮のデータ同化によるリアルタイム予測法の開発
Project/Area Number |
16560444
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
泉宮 尊司 新潟大学, 工学部, 教授 (60151429)
|
Keywords | 津波 / 高潮 / リアルタイム予報 / 逆問題 / 海表面流速場 / 水位分布 / データ同化 / リモートセンシング |
Research Abstract |
津波を早期に検知し,より正確なリアルタイム津波予報を行うためには,平面的な海表面流速場を利用することである。近年では,海洋短波レーダを用いて迅速に測定することができるようになっている。本年度は,このような海表面流速場が得られたとき,より正確な水位変動場を推定する手法の開発を行った。比較的時間的に近接している流速場が得られる場合には,それぞれの流速場の発散をとり,その差分をとることによって水位変動の時間に関しての2階微分値が得られる。そのデータを連続式と運動方程式から得られる楕円方程式に用いることにより,容易に水位分布が得られる。本研究では,まず数値シミュレーションを用いてその妥当性を検討した。その結果,流速場が10s程度以内で得られれば,比較的精度よく水位が再現されることが分った。しかしながら,20s〜30s以上では水位加速度の推定値が低いために,その時点の水位分布を上手く再現することはできなかった。この問題を解決するために,1つの実測の流速データを用い,Δt時間後の流速場は移流方程式から算定することにした。その結果,実測の流速データに誤差がない場合にはほぼ正確に推定できることが分った。本研究の手法は,ある時刻の流速場(観測値)と水位変動(推定値)が得られるので,時間を逆転することにより津波の初期水位分布も同時に推定できる。数値シミュレーションの結果,比較的良好な一致が見られた。 以上の研究より,実用的なリアルタイム津波予報が可能となったが,より精度を上げるためには,測定誤差の除去法や空間的に欠損データがある場合の処理法をさらに開発しなければならない。
|