2004 Fiscal Year Annual Research Report
河川水と地下水の相互作用を考慮した扇状地河川の流況変動予測
Project/Area Number |
16560455
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
原田 守博 名城大学, 理工学部, 教授 (40165030)
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Keywords | 河川水と地下水の相互作用 / 伏流・湧出 / 河川環境 / 扇状地 / 地下水解析 / 低水流況 / 水収支 / 水無し川 |
Research Abstract |
扇状地のように透水性の高い地域を河川が流れる場合,河川水が地下へ伏流するため河道流量が減少し,水質や生態系・景観などに悪影響が及ぶことがある.また,河道流況や地下水状態は灌漑や地下水揚水などの人為的作用による影響も受ける.したがって,扇状地における河川環境を保全するには,周辺地下水との水交換を考慮しつつ維持流量を評価する必要がある.本研究では滋賀県の野洲川を対象として,周辺地下水が低水流況に及ぼす影響を考察するとともに,扇状地における河川水と地下水を統合した水収支構造を評価した。 野洲川は琵琶湖に流入する一級河川で,扇頂部の頭首工で農業用水が取水されるため,とくに灌漑期において河道の流量が減少する.さらに,地盤の透水性が高いために河川水が伏没し,河道が枯渇した「水無し川」となる場合もある.本研究では,まず扇頂部から河口までの約14km区間に6箇所の流量観測地点を設定し,低水流況の同日観測を行うとともに,13箇所の浅層地下水観測井による日水位データを分析した.つぎに,河川水と地下水両者の支配方程式を同時に解く連成解析モデルを構築した。この水理モデルを現地に適用することにより,河川水と地下水との水交換を考慮した河道の流量変化および地下水位の空間分布を求め,河川水と地下水の相互作用に伴う河道の低水流況の再現を試みた. 解析の結果,本研究で提示した河川水と地下水の相互作用モデルは,観測値から推定される河道流量の場所的変化や領域内での地下水状態を概ね再現できることが示された.今後,水理モデルの精度を高めるためには,扇状地の地下構造や,地下水涵養機構等についての情報をもとに水理定数や境界条件を充分に検討する必要がある.さらに,河川の景観や水質,魚類をはじめとする水棲生物の生息環境といった,河川環境を保全するために必要となる環境維持流量の評価・設定を行う予定である.
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Research Products
(3 results)