2005 Fiscal Year Annual Research Report
仮想基準点方式GPSを援用した画像計測による斜面などの変位検知法の開発
Project/Area Number |
16560474
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
服部 進 福山大学, 工学部, 教授 (50108122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 徹 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00263103)
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Keywords | 画像計測 / 変位検知 / GPS / 斜面 / FKP / 網設計 / バンドル調整 / 仮説検定 |
Research Abstract |
この研究は平成16年からの3年計画で長大斜面の変位検知を網型GPS測量とディジタルカメラを使った画像計測を融合することで実用化しようとするものである.17年度は,ネットワーク型GPS測量の性能を調査し,画像計測技術との具体的な結合を実現することが目標である.研究の途中で,解決を先に必要とする問題が起きたため、当初予定の研究は進行が遅れていて,最終年度にずれ込まざるを得なくなった.主たる成果は次のようである. 1.FKP方式ネットワーク型GPSの安定性-この研究では、網型GPSの基準局として,今後国土地理院の電子基準点を使うことを前提にしているが、電子基準点自体の精度が公式にはっきりしておらず、まとまった資料も発表されていない.そこで研究計画には当初無かったが,FKP方式の国土地理院認定業者の協力を得て,実験をおこなった。(1)電子基準点の日々座標値と公式座標値の比較を半年おこない,平面方向は5mm程度、高さ方向では20mmの系統誤差があることがわかった.(2)東京湾周辺の電子基準点を基準局として,私設局での座標調整値の変動を50日間にわたって観測したところ,平面8mm高さ24mmの誤差を得た.(3)東京湾内に移動局を作り,1時間網型GPSで観測したところ,高さ方向の標準偏差は10mmであり、(2),(3)から,高さ方向の安定性には時間変動を吸収するモデル化が十分でないことがわかった. 2.画像計測の安定化と計測の効率化-現場での計測には画像計測の計測効率を上げる必要が起きて,以下の研究をおこない発表した.(1)画像圧縮が計測精度にどのように影響するかを調べ,JPEG高画質圧縮であれば,精度の劣化が無いことを示した.(2)高能率のカメラ校正法を開発した.(3)不良のターゲット像を取り除く画像処理手法を示した.本来の予定した研究の成果は次のようである. 1.GPS網と画像計測網の同時調整の研究-数学的には完成しているが,上記のように電子基準点自体の安定性がまだ十分でないことがわかったこと,福山周辺部での電子基準点データを使う費用が別に発生すること等の問題が起きた.現在は基準点をローカルに作り,従来のRTK-GPSでの計測値をこれに代えて実験している.下記の3.とあわせて発表する.また現場に近寄れない環境での観測のため,ビデオセオドライトを開発して発表した. 2.変位検知網の最適設計-変位が起きたかどうかをターゲットごとに高速に検定する数学的方法は開発が終了し,発表準備を進めている.ターゲットが密に多数配置されているときに、有用な方法である. 3.実用的な治具の開発-画像計測の基準点とGPS受信機の座標系をつなぐため,写真の標定用デバイスを改良して,撮影と同時に受信機の位置が容易に計算できるようにした。現在資料整理中であるが,今後さらに改良をする予定である.
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