Research Abstract |
本研究は,軌道構造の中でも,とくに枕木以下の道床および路盤からなる土および岩の不連続体構造物の動力学的な破壊挙動特性を扱うものである。不連続体解析を用いて,バラスト軌道の動的破壊挙動を再現し,その構造的問題点を明らかにするとともに,従来の二次元的な挙動解析を実用的な三次元解析に発展させるために,砕石形状の三次元的な計測システムの構築,三次元の数値モデル化手法の提案,測定機材の開発,および,砕石集合体の三次元的挙動を実験的に再現することを試みるものである。平成17年度は以下の成果が得られた。 1 不連続体解析のため三次元形状の計測システムの改良と砕石の形状測定 昨年度試作した三次元形状の計測システムのソフトウェアを改良し,三次元デジタイザのプローブで指示した点に関する座標データ取得プロセスを自動化した。さらに,測定値を直接エクセルの表中にテキストデータとしてとりこめるようにした。改良した計測システムを用いて,バラスト用砕石の形状の測定を実施し,砕石の形状特性の抽出とその定量化をはかるとともに,二次元および三次元の不連続体モデルの作成法の改善を行った。 2 二次元および三次元の不連続体の数値モデル化手法の提案とその応用 砕石の実測データを数値化して三次元CAD上にとりこみ,測定点の座標から辺を作成し,辺の組み合わせで面を作成し,さらに面の集合で三次元の多面体を構成するという不連続体モデルの作成法を提案した。計測した砕石すべてについて,三次元の多面体モデル化しCAD上で表示できるようにした。提案手法の応用として,CAD上で複数のブロックを組み合わせ,それをテキストデータに変換し,三次元不連続体解析の初期の数値モデルを作成した。また,道床の不連続体モデルに動的荷重を作用させ,砕石の全体的挙動と局所的な動的応答特性を調べた。 3 楕円体近似による三次元形状の形状評価手法の構築 三次元計測システムの応用として,楕円体近似による三次元形状の形状評価手法を提案し,砕石形状の実測データと比較した。これにより,三次元形状の計測システムの有用性が確認できた。 4 砕石集合体の挙動の測定実験 実験室内で道床内部を模擬した砕石集合体を構成し,その中に試作した道床埋め込み型センサーを設置し,集合体外部より動的な外力を載荷して,砕石内部の三軸方向の加速度の測定実験を行った。これにより砕石の三次元的な挙動を時系列的に把握することが可能であることが確認でき,さらに,センサーのキャリブレーション方法についても検討した。また,計測実験より,ひずみゲージ式加速度計では,内部の発熱と過大外力への耐性に問題があり,現場での応用のためには構造について更なる検討が必要であることが明らかとなった。
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