2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560485
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
高島 正信 福井工業大学, 工学部, 助教授 (30257498)
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Keywords | 嫌気性処理 / 下水 / UASB / 減圧 / 窒素りん除去 |
Research Abstract |
本年度は、嫌気性微生物処理を組み合わせた都市下水の有機物・窒素・りんの同時除去について実験的に検討した。 下水の最初沈殿池越流水を処理対象とし、嫌気性微生物処理にはアクリル樹脂製、容積約8Lの上向流嫌気性スラッジブランケット(UASB)型リアクターを3基用い、種グラニュール汚泥には昨年度使用していたものをそのまま継続して使用した。リアクター温度およびpHの制御は行わず、水理学的滞留時間HRTは実験前半は約1時間、水温が低下した実験後半は約2時間を採用した。前年度と同じように、3基のリアクターの条件をそれぞれ1)コントロール系、2)微量金属系(Fe:0.008mg/L、Ni:0.0014mg/L、Co:0.0011mg/L、Zn:0.007mg/L)、3)減圧系(圧力約0.08MPa)と変えることによって、減圧操作の有無および微量金属添加の有無の影響を検討した。実験の結果、コンロトールに比較して減圧系および微量金属添加系では若干だがSS除去能力に優れ、処理水質の優れていたことが多かった。 UASB型リアクターの処理水は、無酸素槽+好気槽によって有機物、窒素およびりんの仕上げ処理を行った。無酸素槽は容積5Lでスポンジ担体(ポリウレタン製12x12x15mm)を全槽に充填してある上向流型固定床であり、好気槽は容積10Lの浮遊型活性汚泥法に鉄製金網(約1,000g)を充填したものである。滞留時間は無酸素槽約2時間、好気槽約4時間で、好気槽混合液の無酸素槽への循環は約200%、返送汚泥量は約50%に設定した。水温27〜7℃の間で84日間運転したところ、処理水のT-N10mg/L、T-P1mg/Lをほとんどの期間で達成できた。 嫌気性微生物処理は、メタンガスとして下水の有するエネルギーを回収できるというメリットを持つものの、窒素・りんの富栄養化物質を除去できないという欠点を有していた。しかしながら、適切な処理方式を組み合わせることによって、都市下水についても有機物・窒素・りんの同時除去が可能なことが本研究で実証されたと思われる。
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