2005 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性浅海域における底生生態系破壊機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
16560487
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山崎 惟義 福岡大学, 工学部, 教授 (00038100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 亮一 福岡大学, 工学部, 助手 (50299541)
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Keywords | 貧酸素水塊 / マクロベントス / シミュレーション / 酸素消費 / ホトトギスガイ / 底生生態系 / コホート / 硫化水素 |
Research Abstract |
研究の目的として、優占種二枚貝ホトトギスガイが博多湾水質に与える影響(遺骸の酸素消費等)に着目し研究を行なった結果、以下の二点が明らかとなった。1.酸素消費速度について ・ホトトギスガイの遺骸による酸素消費速度は遺骸の分解が開始されてからの経過時間に伴い減少すると言うことがわかり、ホトトギスガイの遺骸による酸素消費速度を時間の指数関数df/dt=λ・OD_REXP(-λt)として定式化することができた。 ・呼吸による酸素消費速度と遺骸の分解による酸素消費速度とを比較することにより、死んだ直後の酸素消費速度は呼吸による酸素消費速度よりも大きくなっていることが分かった。特に水温20℃の条件においては遺骸の分解による酸素消費速度が呼吸による酸素消費速度の3倍となった。この結果より貧酸素水塊の発生によりホトトギスガイが死んだ後、貧酸素水塊を更に助長している可能性を証明することができた。 2.全酸素消費量について ホトトギスガイの遺骸の分解により乾燥身質量1gあたり約1100〜1500(mg)の酸素が消費されていることが明らかとなった。 今回の研究結果を踏まえた今後の課題として以下のことが挙げられる。 (1)今回の実験結果を参考にして様々な水温条件下で実験を行い、遺骸の分解による酸素消費速度が最も早くなる温度を見つける必要がある。 (2)ホトトギスガイの遺骸に含まれる炭素量のみで酸素消費を推測したが、炭素以外の含有物(窒素やリン)の溶出による酸素の消費も考えられるため、その原因を明らかにする。 (3)実際にホトトギスガイが夏季に死滅するのは貧酸素状態である。よって貧酸素状態からの遺骸の酸素消費を測定する必要がある。
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