2006 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性浅海域における底生生態系破壊機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
16560487
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山崎 惟義 福岡大学, 工学部, 教授 (00038100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 亮一 福岡大学, 工学部, 助手 (50299541)
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Keywords | 貧酸素水塊 / 底生生態系 / マクロベントス / シミュレーション / 酸素消費 |
Research Abstract |
潮汐による移流と乱流拡散を流動場における輸送現象とし、分子拡散を水塊一底泥系における輸送とし、窒素、りん、DO、植物プランクトン、動物プランクトンの消長を含んだ博多湾生態系モデルに、前年度に開発したホトトギスガイ(本貝と呼ぶ)の着底、成長、死滅ならびに遺骸の分解過程における酸素消費を含んだ酸素消費と貧酸素水塊の発生モデルを構築した。本モデルを用いて生態系破壊をの博多湾におけるシミュレーションをおこなった。これにより、それまでに不可能であった、博多湾底層の貧酸素化を説明することができた。 博多湾における本貝のサイズ分布、底層酸素濃度、底質のABS、酸化還元電位の経月変化の調査結果より、それまで、不明であった本貝の着床に及ぼす底層のDOと底質のABSの影響を解明できた。すなわち、夏季における本貝の着床時期に、AVS=0.35+0.16DOよりAVSが高い場合は着床が強く阻害されることを示した。 博多湾における本貝を指標とした底生生物生態系の破壊機構が、梅雨期の淡水流入と夏季の温度上昇による海水の密度成層が発生する。これによる海水の上下混合が低下が、底層への酸素の供給を減少させる。底層では温度上昇に伴い底生生物などの酸素消費速度が増大する。この供給の低下と消費の増大により底層の貧酸素化が進行する。その結果、本貝を含む一部の底生生物が死滅する。その遺骸の分解が酸素消費を増大させ、連鎖反応的に貧酸素化が進行しさらには無酸素状態となるメカニズムを示した。 これらの研究の中、博多湾室見川河口には埋立用の海底土砂を淡深した窪地があり、その部分の貧酸素化、無酸素化が顕著であることが判明した。この無酸素化がゆわゆる青潮を発生させ、さらに周辺生態系の破壊を進行させている可能性の兆候を見出した。この窪地についでは、密度成層の生成と破壊が窪地内の貧酸素・無酸素に及ぼす影響の概要を見出した。
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