2005 Fiscal Year Annual Research Report
北海道の地震環境に基づく歴史的建造物の戦略的保存再生法に関する研究
Project/Area Number |
16560490
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菊地 優 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50344479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 圭一 釧路工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (70333630)
角 幸博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40001995)
壇 一男 清水建設, 技術研究所, 主席研究員 (90393561)
石井 透 清水建設, 技術研究所, 主任研究員 (70393569)
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Keywords | 歴史的建造物 / 振動測定 / 耐震診断 / 耐震補強 / 地震応答解析 / 免震構造 / 強震動 |
Research Abstract |
前年度に研究対象として選定した以下の5棟の歴史的建造物 1.北海道庁旧本庁舎(明治21年,レンガ造) 2.旧三井銀行小樽支店(昭和2年,SRC造) 3.日本基督教団函館教会(昭和6年,RC造) 4.北海道大学本部(昭和10年,RC造) 5.北海道大学理学部本館(昭和4年,RC造) のうち、今年度は1と3の建物について現地調査を実施した。 一方、北海道の地震環境に関しては、想定札幌直下浅発地震による地震動を新たに予測した。これにより、 (1)石狩低地東縁断層帯の地震による地震動 (2)想定札幌直下浅発地震による地震動 (3)函館平野西縁断層帯の地震による地震動 を地域波と位置づけ、上記の歴史的建造物の耐震性能評価に用いた。北海道庁旧本庁舎はレンガ造という非耐震的な構造であるために、現状ではかなりの損傷が生じる結果となり、制震あるいは免震補強の2通りの耐震補強策を立案した。前者は建物の一部分に施す軽微な補強案であり、後者は建物全体を免震化する補強案である。補強効果は免震補強の方が圧倒的に優れているもののコストは高く、これを実現するには重要文化財である本建物を保存する強い意志とコンセンサスが必要である。2〜5の建物は昭和初期のRC造、SRC造という先進的な構造であり、総じて極端に悪い耐震性能ではなかった。しかし、歴史的建造物としての価値を考えると、現行の耐震基準を満たすのみでは不十分であり免震補強の可能性について検討した。特に、5は現在、総合博物館として使用されており、建物の価値のみならず貴重な展示・収蔵品の保護を考えると免震補強の効果は絶大であった。なお、2と3ついては、個人所有の建物であることに配慮して一般的な補強策も合わせて立案した。結論として、1を除く建物は現行の耐震基準には満たないものの、当時としては先駆的な構造であり、かなりの耐震余裕度を有していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)