Research Abstract |
多層骨組の柱材は,常時荷重による応力に加えて,地震時に二方向の水平力と変動軸力を受ける.本研究は,このような多軸応力状態におけるH形断面鋼柱の不安定挙動を明らかにすることを目的とする. H形断面柱は,強軸曲げを受ける場合と弱軸曲げを受ける場合で異なった不安定挙動を示す.通常,強軸曲げを受ける場合は曲げ捩れ座屈によって不安定となり,弱軸曲げを受ける場合は局部座屈またはPΔ効果によって不安定になる.水平力の作用方向,水平力の載荷方法,軸力の載荷方法を変化させた一連の実験を行い,併せて解析による検討を行い,二軸曲げを受けるH形断面材の崩壊モードとエネルギー吸収能力を支配する基本的パラメータを明らかにし,エネルギー吸収能力を定量的に評価するための基礎資料を得る. 平成17年度では,平成16年度に続き実験および解析により研究を進めると共に,研究のまとめを行った. 試験体は昨年度同様,溶接組み立てH形断面材とし,より細長比の大きい試験体を用いた実験と,昨年度と同様の細長比を有する材に対して軸力を変化させた実験を行い,細長比および軸力比の影響をみた. 試験体の長さLは,L=1500mmおよびL=750mmとし,L=1500mmの試験体は,水平載荷方向4方向(0,30,60,90°),軸力比は30%の一定条件で一方向単調載荷と繰返し載荷実験を行った.L=750mmの試験体は,水平載荷方向は4方向(0,30,60,90°),軸力比は60%で,一方向単調載荷実験と一部繰返し載荷実験を行った.試験体数は合計16体である.使用する実験設備は平成16年度と同一である. 平成16年度と17年度に行った実験および解析の結果に基づき,水平荷重により二軸曲げを受けるH形断面材の不安定現象について考察した.本研究で用いた解析法により,部材が崩壊に至までの挙動を精度よく予測することが出来ること,任意方向載荷時のエネルギー吸収量を予測出来ことを示した.
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