2005 Fiscal Year Annual Research Report
板倉建築の構法類型と地域特性から見た板壁評価の基礎的研究
Project/Area Number |
16560533
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 邦廣 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20011215)
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Keywords | 板倉 / 構法 / 地域特性 / 小屋 / 石屋根 / 結い |
Research Abstract |
調査内容 (1)東北地方における板倉の調査研究 前年度に実施した秋田県、山形県、福島県の板倉の予備調査に基づき、山形市内のモミドを中心に、土蔵、納屋などの付属小屋の総合的調査を行った。 (2)コヤの石屋根構法の調査研究 対馬のコヤの特徴である石屋根について、石材の加工、運搬、施工、維持管理にわたる体系的な調査研究を行い、あわせて、モゴヤや石倉といった、対馬独自の石の使い方についても調査を行った。 得られた知見 以上のような調査結果から、現在までのところ以下のような知見が得られた。 (1)山形のモミドの構法と地域特性 (1)モミドは、籾の収穫から脱穀までの短期間の一時的収納を目的としたものである。 (2)モミドには、独立したモミドと納屋に付随した小屋モミドの二つの類型が確認された。 (3)モミドの立地は、敷地と耕作地に近い場所に配置され、自動車による運搬や道路の整備に伴って、その利便性を図るために、移築されるものが多く見られた。 (4)山形における稲作単作に特化した農業経営により、モミドのほかにワラを大量に貯蔵する大型の木造倉庫(コヤ)が成立した。モミドとあわせて、その構法や機能が明らかになった。 (2)コヤの石屋根構法について (1)対島のコヤの石屋根は、大きく二つの類型(巨石葺き、乱石葺き)に分けられることが確認された。 (2)二つの石屋根構法に応じて、小屋組や屋根の下地構法に違いが見られる。 (3)二つの石屋根構法は、生産組織についてもまったく違った形態を備え、石屋根を維持してきたことが明らかになった。
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