2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者居住施設における生活の質向上のための環境行動支援
Project/Area Number |
16560543
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
古賀 紀江 前橋工科大学, 工学部, 助教授 (10295454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 ゆりか 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (20251324)
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Keywords | 高齢者居住施設 / 環境行動支援 / 生活の質(QOL) / 食事環境 / 所有物 / ビデオ撮影データ分析 / 韓国比較調査 |
Research Abstract |
2000年からの介護保険導入は居住施設入居者のADLレベルを低い方にシフトする傾向をもたらした。本研究では、高齢者居住施設において「生活の質」を保障するためには衰えた身体機能を補うための環境の整備や支援に加えて、受け身ではない生活を送るための支援についての考察を行う。研究では高齢者居住施設の生活環境のうち、最も私的な場所である居室(所有物に着目)と、生命を支え他者との交流を経験できる場所である食堂で入居者が環境と能動的な関わり(=環境行動)を持つことを促す支援に必要な方法を明らかにしたい。平成16年度は以下の事を行った。(1)QOLに関する知見の調査 日本建築学会大会と国際アルツハイマー病協会第20回国際会議に参加(旅費)、知識の収集と意見交換を行った。(2)施設における環境行動の可能性、実態を捉える手法の確立・入居者の環境行動を促すための支援手法開発を目的とした調査・分析(1)既往調査を本研究の視点から分析:同一の特別養護老人ホームで行った3回の調査の分析考察を行った。最長で1時間近い食前の待機時間に、他者とのコンタクトは非常に少ない。食事時間は数分から30分程度まで差が大きく、個人の食事の進度に関係なく片付けなどが行われている様子も見受けられ、食後の滞在時間は5分程度が多いなどの状況が捉えられた。これらの実態は、身体状況によって多様な食事形態が存在するのに対して環境の側の用意が少ないことの示唆とも考えられる。(2)特別養護老人ホームでの食事場面調査とビデオ分析:(1)に加えて新たに調査を行った。物理的環境、ケアの質が異なるが、本人の意思に関わらない選択性のない環境での待機が存在するなどの様子が読み取れる。(3)仮説の普遍性に関する検討 また、本研究では広く普遍性のある提言を目的としている。本研究における予想が日本以外の文化圏でどの程度適当であるかを考察するための対象事例として韓国での調査を行った(旅費、物品費、謝金、その他経費)。食事環境調査、所有物に着眼した居室の調査を行った。以上は、現在分析、論文化作業中(2005年度建築学会等で発表予定)である。
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