2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者居住施設における生活の質向上のための環境行動支援
Project/Area Number |
16560543
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
古賀 紀江 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (10295454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 ゆりか 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (20251324)
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Keywords | 環境行動支援 / 高齢者居住施設 / 食事環境 / 所有物 / 生活の質 / ジェンダー / 特別養護老人ホーム / グループホーム |
Research Abstract |
介護保険の導入は高齢者居住施設入居者のADLレベルを低い方にシフトする傾向をもたらした。介護度が高い人は、介護を受ける場面と次の場面へ移るまでの待機場面で日常生酒が構成されてしまいがちな状況が存在する。高齢者居住施設において、「生活の質」を保障するためには衰えた身体機能を補うための環境の整備や支援に加えて受身ではない生括を送るための支援が必要である。本研究は、私的な場所である居室と、社会的な場所である食堂で入居者が環境と能動的なかかわりと持つことを促す支援方法について考察を重ねたものである。本年度は、これまでの結果の分析考察による論文化と、国際学会での発表により広く内外の専門家との議論を行い研究を深めた。(1)食事の場所における環境行動支援:16年度の岩手県調査の分析をさらに進め、同時に分析手法を確立した。集団規模は同程度であっても、特養(ユニットケアとGH(グループホーム)での食事前後の人々の行動を食事空間の滞在状況で捉えると、GHの方が食事室の出入りや、滞在時間などより、多様な居方をする傾向が認められる。身体機能の制約を踏まえた上で、各人の可能性に合わせたそれぞれの居方を支える環境が用意される必要がある。(2)生命を支える根幹の食と、社会的な活動が同時に満たされる場として、韓国の自立高齢者の通所施設「敬老堂」調査の分析考察を行った。敬老堂は、地域生活の中から自然に生まれた括動に起源を持つ事から、より自然な人々の共用場所(食事空間)あり方を考える上で多くの示唆を得ることができた。(EBRAで発表)(3)居室内の環境について居住者の所有物の分析・考察を行った。「もの」の数はADLや認知症程度に相関しがちな傾向が認められることが多いが、今回は時間とジェンダーに着目した分析を行った。男性は「もの」の種類、量とも女性よりも少ない傾向がある。調査期間におけるADLの変化をみると男性の方が女性よりも身体機能が早く低下する傾向が明らかである。「もの」の環境が(ここでは量)健康である期間の長短に影響を与える可能性と、環境行動支援においてジェンダーを考慮するべき場面が存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)