2004 Fiscal Year Annual Research Report
改修によるユニットケア型高齢者居住施設の建築計画とケアシステムに関する研究
Project/Area Number |
16560547
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
橘 弘志 実践女子大学, 生活科学部, 助教授 (70277797)
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Keywords | 高齢者居住施設 / ユニットケア / 施設改修 / ケアシステム / 環境行動研究 / 事後評価 / 特別養護老人ホーム / 生活の質 |
Research Abstract |
本研究は、既存の従来型特別養護老人ホーム・老人保健施設の改修事業を対象として、そこに建築計画的な立場から関わって改修プランの作成に携わるとともに、その前後における入居者の生活や施設スタッフの関わり方を調査することによって、その改修プランの有効性や問題点、施設運営の変化とその意味などを明らかにすることを目的とする。さらにそれを施設にフィードバックしていくことによって、それぞれの施設の環境の質の改善に寄与することを目指している。その結果を基に、改修型のハード・ソフト両面にわたる知見を得ようとするものである。 本年度はまず、改修によって部分的にユニットケアを導入した特別養護老人ホームを対象として調査を行った。調査は、ケア方針の概要や入居者属性を運営側へのヒアリングによって確認した後、入居者の生活調査とケアスタッフの介護行為調査を実施した。対象施設は、既存棟に増築を行い小規模なリビングを設けて12人ずつの2ユニットを導入し、残りの入居者は従来通りの大リビングにおける一斉処遇が継続されており、このユニット型・従来型のケア内容や入居者の生活行為・生活パターンを比較する分析を行った。 調査分析結果の概要としては、ユニット型と従来型の部分を比較してみると、ケア行為に大きな差は見られず、建築的な形態としてユニットを導入したものの、ケアの理念や実際のケア行為の変化としては現れていない。入居者の生活行為や生活パターンをみても、ユニット型と従来型とで大きな差はなく、どちらも施設側のプログラムに規定された生活となっている。ユニットケアという概念をトップダウンで導入し改修を行うだけでは、従来のケア方針を変化させることが難しく、入居者の生活の改善に必ずしも結びつくものではないことが示唆された。
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