2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560582
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小泉 大一 明治大学, 理工学部, 教授 (60126050)
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Keywords | 転位 / キンク / 計算機シミュレーション / 半導体 / Stillinger-Weberポテンシャル / 速度 / 超音速運動 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
結晶中の転位,キンク,亀裂などは弾性論の立場から見れば連続媒質中の特異点あるいは特異線である.弾性論でこれらの特異点を取り扱う際の最大の問題点は,対象が格子の周期で変化する性質を持っていることをあからさまにはとり入れることができない点にある.一般に,特異点は,運動の際に格子の周期性を感じ,それに応じて加速減速を繰り返しながら進むので,フォノン輻射がおき,運動エネルギーの散逸がおきる.この点も考慮して,転位,キンク,亀裂などについて運動方程式が議論されることは非常に少ない. 半導体結晶中にキンク対を持ったらせん転位を導入し,外力をかけた状態でのキンクの運動を計算機でシミュレーションした.原子間相互作用はStillinger-Weberポテンシャルを使用した.キンクの速度は外力とともに増加するが,直線転位で計算したときと同じように,速度が不連続的に増加するところがみられる。直線転位の場合には,転位の運動で輻射されるフォノンのスペクトルが急に変化するところが,速度と外力の関係での不連続な部分になって現れた.キンクの場合も同様なことが起きていると考えられるが,十分詳細な検討まではできていない. 弾性論では,音速を超えるときにエネルギーが無限大になるので,超音速運動は不可能ということになっている.しかし,格子中では,直線状の転位であれ,亀裂であれ,超音速の運動は可能であることがシミュレーションでは確立されている.キンクの場合にも,横波の速度以上の速度でキンクが定常的に運動することが可能であることを確かめた. キンクは長さが1原子問距離の短い転位線であるが,運動に関する限り,定性的には,無限に長い直線転位の性質を持ち続けているように見える.
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Research Products
(1 results)