2004 Fiscal Year Annual Research Report
最新電子顕微鏡法の活用によるチタン合金オメガ相変態挙動の定量的解析に関する研究
Project/Area Number |
16560583
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
助台 榮一 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00090217)
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Keywords | β型チタン合金 / 131K / ω相粒子 / 昇温速度 / ω-β相変態 / 変態発現 / 電子顕微鏡その場観察 / 照射電子線エネルギー |
Research Abstract |
β型チタン合金を室温から131Kへ冷却すると、β相からω相へ変態することを明らかにした。そのω相粒子は逆に昇温によりβ相へ逆変態するが、このω-β相逆変態発現に必要なエネルギー量を決定する目的で、電子顕微鏡その場観察法による次の2実験を行った。 1)131Kから2種の昇温速度で200Kへ昇温し、その逆変態について調べた。昇温速度が0.041K/secの場合変態は完了したが、昇温速度が0.081K/secの場合には完了しなかった。昇温速度が遅い場合、200K到達までの加熱時間が長いので、速い場合に比べ、試料に供給される熱量は大となる。従って、ω-β相変態は一定量以上の熱エネルギーの供給が必要である、ことが分かった。 2)131Kで生成したω相粒子は電顕観察中に消滅する;照射電子線のエネルギーによりω-β相逆変態が生ずる。これを利用して、照射電子線のエネルギーを変化させて、この変態発現挙動を調べ、変態発現に必要なエネルギー量の決定を試みた。電子線は、加速電圧を200,160kVに、電流密度を20.5,5.7pA/cm^2の変化させ、4種類のエネルギー状態にし、ω相粒子に照射した。その消滅挙動その場観察から、変態発現までの照射時間を比較した。変態開始が最も速いのは、加速電圧200kV、電流密度20.5pA/cm^2の場合であった。順次、160kV、20.5pA/cm^2の場合、160kV、20.5pA/cm^2の場合、160kV、電流密度5.7pA/cm^2の場合であった。この結果から、高い電流密度による試料温度上昇がω-β相変態発現の主因、と考えられた。 以上の結果から、ω-β相変態発現に一定量の熱エネルギーが必要であることが分かった。そこで、試料温度の直接測定法の確立が問題解決に必要であり、その開発を検討する。
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