2004 Fiscal Year Annual Research Report
一次元組織を有する新規熱電変換酸化物の創製と熱電特性評価
Project/Area Number |
16560585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 純一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20261472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 久典 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (20191364)
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Keywords | 擬一次元結晶構造 / 熱電変換材料 / コバルト含有酸化物 / 単結晶 / フラックス法 / 電気抵抗率 / ゼーベック係数 / 出力因子 |
Research Abstract |
カルシウムコバルト酸化物Ca_3Co_2O_6の単結晶を,K_2CO_3を融剤としたフラックス法により合成した.Ca_3Co_2O_6はCoO_6八面体とCoO_6三角プリズムが面共有で交互積層した[CoO_3]_∞鎖とCa^<2+>イオン列が結晶構造のc軸方向に並行配列した擬一次元結晶構造を持つ.モル比CaCO_3/Co_3O_4/K_2CO_3=3.5/1/20に秤量・混合した原料粉末をAl_2O_3ルツボに入れ,空気中,928℃で48b加熱し,炉冷後,フラックスを水洗により除いて単結晶を得た.得られた単結晶は黒色で六角柱面または三角柱面が発達した針状ないし柱状の一次元的な形態を呈していた.単結晶の大きさは最大で長さ7mm,太さ0,7mm程度であった.得られた単結晶の破断面をEPMAにより定量分析したところCa/Co原子比は0.607/0.393であり,目的物Ca_3Co_2O_6の金属元素比と一致した.単結晶X線ラウエ写真およびプリセッション写真より,この結晶の構造が三方晶系に属し,格子定数が六方晶系表示でa=9.1Å,c=10.4Å,結晶の伸東方向がc軸であることを確認した.単結晶Ca_3Co_2O_6(c軸)について電気抵抗率pとゼーペック係数Sを大気中,室温から約1100Kの温度領域で測定した.p値は室温で約2Ωcm,1000Kで13mΩcmであった.S値は440K近傍で極大値(約+300μV/K)を持つ凸型の温度依存性を示し,測定温度範囲で正であった.これらの結果から単結晶Ca_3Co_2O_6はp型半導体であることが示された.単結晶Ca_3Co_2O_6(c軸)の出力因子S^2p^<-1>は測定温度範囲で温度の上昇に伴い単調増加した,1000Kにおける出力因子値は2.33×10^<-4>Wm^<-1>K^<-2>であった.この値は比較として測定した多結晶Ca_3Co_2O_6(1.02×10^<-5>Wm^<-1>K^<-2>)と比べて一桁高い.
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Research Products
(4 results)