2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16560588
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 講師 (40231807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
篠田 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (30323843)
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Keywords | セラミックス / ナノ多結晶体 / ナノインデンテーション / 変形 / 破壊 |
Research Abstract |
セラミック超微粉末をHIP焼結することにより、ジルコニア、アルミナ、マグネシアなど構造用酸化物セラミックスに対してナノ多結晶体の作製を試みた。その結果、ジルコニアに関しては、単斜晶、正方晶および立方晶のいずれに対しても平均結晶粒径が100nm以下の緻密なナノ多結晶体を作製できることがわかった。アルミナおよびマグネシアに関しては、緻密なナノ多結晶体が作製できていないので、最適焼結条件の探索に加えて粒成長抑制剤の探索を行っている。我々が独自に開発した高精度ナノインデンターを用い、ジルコニアナノ多結晶体に対してナノインデンテーション法を適用し、それらの力学的特性評価を行った。その際、既存のナノインデンテーション挙動解析法では正確な力学特性評価が困難であることに気が付いた。そこで、有限要素法で構築したデータベースを逆解析することによって正確な力学特性を評価できる新しいナノインデンテーション挙動解析法を開発した。降伏応力や加工硬化挙動を明確にできる複数の金属試験片に対して検証実験を行った(ナノインデンテーション逆解析の結果と1軸圧縮試験の結果を比較した)ところ、逆解析法の有効性が確認できた。この解析法により、立方晶ジルコニアの塑性変形抵抗は粒径に依存せず、押込み深さが小さくなるほど大きくなることが明らかとなった。これは幾何学的に要請される転位ループの発生によるものと考えられる。単斜晶ジルコニアの塑性変形抵抗は立方晶よりもはるかに小さく、押込み深さ依存性が認められないことがわかった。これは単斜晶ジルコニアの塑性変形が双晶変形によることに起因する。正方晶ジルコニアの塑性変形抵抗は、平均粒径が100nmより小さい場合は立方晶とほぼ同じ挙動を示し、平均粒径が100nmを超えると単斜晶のそれと一致することが明らかとなった。これは正方晶ジルコニアの応力誘起相変態によって説明できることがわかった。
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