2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドメイン制御による非鉛系圧電セラミックスの設計とアクチュエータ応用に関する研究
Project/Area Number |
16560621
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 瑞平 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究員 (00358392)
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Keywords | 非鉛系圧電セラミックス / 圧電特性 / ニオブ系 / ペロブスカイト / 誘電特性 / 相図 / 相境界 / 放電プラズマ焼結 |
Research Abstract |
高性能な非鉛系圧電材料を探索する目的で、母材として注目されているペロブスカイト(Na,K)NbO_3に、同じベロブスカイト構造を有するBaTiO_3およびSrTiO_3を導入し、そのセラミック固溶体を開発した。 (1-x)(Na,K)NbO_3-xATiO_3(A=Ba,Sr)試料は常圧下での焼結は困難であるため、本年度は、主として、圧電特性を決定する際重要である試料の密度を制御する目的で焼結方法の確立を集中して行った。その結果、加圧しながら数分間という短時間で試料の緻密化できる放電プラズマ焼結法を用いることによって、相対密度96%以上の質の高い試料を作成することに成功した。また、熱処理プロセスの最適条件を確立することにより、誘電特性・圧電特性を再現性良く達成した。 試料の結晶構造は粉末X線回折により解析し、0【less than or equal】x【less than or equal】0.04で試料が正方晶で、x>0.05では試料が斜方晶であることが判明した。圧電特性を評価するために、試料に電極をつけた後、120-150℃のシリコンオイル中で30-40kV/cmの電場で分極した。分極した試料を24時間放置した後、電気機械結合係数k_pを共振・反共振法によって求め、圧電d_<33>定数をd_<33>メーターを用いて測定した。その結果、少量のATiO_3添加により、(Na,K)NbO_3の圧電特性が改善され、正方晶/斜方晶の境界x=0.05近傍で試料の圧電特性が最も高いことが明らかになった。現時点で得た最高圧電特性は:k_p〜40%、d_<33>〜200pC/Nで、PZTの圧電特性に準ずる。圧電特性の温度依存性から、試料は優れた耐侯性を持つことが確認された。 非鉛系圧電セラミックスの設計指針をまとめるために、誘電率の温度依存性の結果から相図を作成した。そして、相図に鉛系圧電材料(1-x)Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-xPbTiO_3と類似した正方晶/斜方晶相境界があることを見出した。世界に先駆けで、(Na,K)NbO_3を基礎組成とした固溶体の圧電特性の改善が、正方晶/斜方晶相境界形成によるものと提案した。 関連成果として、特許出願(国内1件)するとともに国内学会(2件)で発表し、外国雑誌に論文が1通掲載された。
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Research Products
(2 results)