2004 Fiscal Year Annual Research Report
磁気測定に基づくモルタル中の腐食環境評価技術の開発
Project/Area Number |
16560623
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
八代 仁 岩手大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60174497)
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Keywords | モルタル / 鉄筋 / 腐食 / コンクリート / 残留磁化 / SQUID / 非破壊検査 |
Research Abstract |
コンクリート中の鉄筋の腐食問題に関連し、磁気計測に基づいてモルタル内の腐食環境を非接触で評価する新しい方法を開発することを目的とした。本法の原理は、鉄製のプローブをモルタル中に埋設し、その腐食開始を鉄プローブの残留磁化の変化として検出することである。鉄の腐食に伴って残留磁化が鋭敏に変化するように、鉄プローブには鉄細線および鉄めっき膜を用いた。 鉄線(Φ0.1mm)および鉄めっきした銅棒(Φ10mm)を腐食プローブとしてモルタル内(40x40x160mm)に埋設した。モルタル試験片の外部より鉄プローブを磁化(24000A/m)した後、残留磁化をSQUID磁束計で評価した。鉄プローブを埋設したモルタル試験片に対し、60℃のNaCl溶液に3日浸漬後60℃の乾燥器中で4日乾燥させる腐食加速試験をおこなった。同様の腐食試験を鉄筋を埋設したモルタル試験片に対しても行った。 鉄めっき膜をプローブとして使用した場合、鉄めっき膜自体の磁気特性が安定するまでに10日以上放置する必要があった。残留磁化が安定した鉄プローブを用いて腐食試験を行ったところ、腐食試験7日後には残留磁化が約半分に、21日後には約1/4に減少した。21日後にモルタル試験片を破壊して内部を観察した結果、プローブの鉄めっき部が腐食していた。同様の腐食加速試験を行った鉄筋入りモルタルを21日後に破壊したところ鉄筋に錆が発生していた。一方、鉄プローブとして鉄線を用いた場合、鉄筋が腐食した21日を経過しても残留磁化に変化はみられず、170日を経過しても変化しなかった。170日後に試験片を破壊して内部観察したところ、鉄線は全く腐食していなかった。これは、鉄線が細くモルタルとの密着性が高いため、鉄線の周辺にクラックが発生しなかったためと考えられた。また、鉄線ではモルタルの湿潤・乾燥に伴う収縮によって"逆磁歪効果"が起こり、腐食と無関係に残留磁化が周期的に変動した。 以上の結果から、鉄筋の腐食環境をモニタするためには、鉄線ではなく鉄めっき膜が適切であること、またこれをモルタル中に埋設することによって、鉄筋の腐食環境を非接触で磁気的にモニタ可能であることが実証された。
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