2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁気測定に基づくモルタル中の腐食環境評価技術の開発
Project/Area Number |
16560623
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
八代 仁 岩手大学, 工学部, 教授 (60174497)
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Keywords | モルタル / 鉄筋 / 腐食 / コンクリート / 残留磁化 / SQUID / 非破壊検査 |
Research Abstract |
コンクリート中の鉄筋の腐食が大きな社会問題となっていることから、磁気計測に基づいてモルタル内の腐食環境を非破壊・非接触で評価する新しい方法を開発することを目的とした。本法の原理は、鉄製のプローブ(磁性腐食プローブ)をモルタル中に埋設し、その腐食進行をその残留磁化の変化としてモルタル外部から検出することである。16年度は、磁性腐食プローブとしての特性を鉄線と鉄メッキ膜で比較し、鉄メッキ膜のほうが優れていることを示した。本年度は、モルタル中に鉄メッキ膜製の磁性腐食プローブを鉄筋とともに埋設し、腐食加速試験に伴う鉄筋の腐食進行度と、プローブの残留磁化の変化を比較することを目的とした。 厚さ1〜10μmの鉄めっきをした銅棒(Φ10mm,長さ50mm)を腐食プローブとしてモルタル内(40x40x160mm)に埋設した。モルタル供試材の外部より鉄プローブを磁化(24000Am^<-1>)した後、残留磁化をSQUID磁束計で評価した。モルタル供試材の一面を60℃のNaCl溶液に3日浸漬後60℃の乾燥器中で4日乾燥させる腐食加速試験をおこなった。同様の腐食試験を鉄筋(φ10mm,長さ50mm)を埋設したモルタル供試材に対しても行った。 調製した磁性腐食プローブの残留磁化はモルタルの温度および含水量によってはほとんど影響されなかった。残留磁化が安定したプローブを用いて腐食試験を行った結果、約1ヶ月後にプローブの残留磁化が半減した。このとき、供試材を破壊して鉄筋の腐食量を測定したところ、0.3g cm^<-2>程度であった。プローブの残留磁化は鉄筋の腐食量が0.5g cm^<-2>まで単調に減少し、それ以上では変化しなかった。以上の様に、本プローブは鉄筋の腐食量にして0.5g cm^<-2>程度までの極めて初期段階で、残留磁化が変化することから、高感度の腐食環境モニタリングに適していると結論される。
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