2004 Fiscal Year Annual Research Report
電気伝導性酸化物微粒子を高分散担持した電解質・燃料極界面のメタン完全酸化活性
Project/Area Number |
16560628
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 一則 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20143828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 茂明 新光電気工業株式会社, 開発統括部, 研究員
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Keywords | メタン / 固体酸化物燃料電池 / 金属酸化物 / 燃料極 / アノード酸化反応 / 分極抵抗 / サーメット |
Research Abstract |
天然ガス等の主成分であるメタンを直接に使用可能な固体酸化物燃料電池(SOFC)の開発を目的として、メタンのアノード酸化反応に対して高い酸化活性をもたらす燃料極物質の探索研究を行なった。遷移金属イオンを含む複合酸化物のなかでも金属的な電気伝導性を有する層状遷移金属酸化物に着目した。特に、3d金属と4d金属の組み合わせからなるPdCoO_2,PtCoO_2などの金属酸化物粒子は、メタンに対して高い酸化活性を示し、メタン直接使用の燃料電池として優れた発電特性を示した。平成16年度は、これらの金属酸化物粒子に対する微細化合成法の確立、および燃料極基質の改質による低反応抵抗化に関して、それぞれ研究を進めた。着目した金属酸化物に対する微細粒子合成法として、金属錯体および金属塩を用いた溶液からの微粒子析出を行なった。目的とする金属を含むペンタンジオネートのアルコール溶液に対する加水分解重合反応において、紫外光照射が不可欠なことを明らかにした。本方法により合成した金属酸化物前駆体は、数十ナノメートルサイズの微粒子であることを確認した。金属塩水溶液からの沈殿析出においては、金属塩の溶解度差によって目的の複合酸化物粒子合成が、困難な場合があった。この場合は、加熱処理による反応によって目的の粒子作製が可能であったが、作製粒子サイズはミクロンメートルのレベルであった。このようにして作製した金属酸化物粒子に対するキャラクタリゼーションを、X線回折法、高分解能電子顕微鏡法、およびX線光電子分光法を用いて行なった。その結果、目的とする層状結晶構造、粒子微細組織、および構成遷移金属イオンの価電子状態について、それぞれ明らかにした。燃料極基質である金属粒子と電解質粒子の多孔質焼結体(サーメット)における低反応抵抗化を目的として、ニッケル粒子を用いる従来のサーメットの代わりにコバルトとニッケルの固溶合金粒子を用いる新しいサーメット燃料極を提案した。このコバルトニッケル合金粒子を用いた燃料極は、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y_2O_3-ZrO_2)電解質およびサマリア添加セリア(Ce_<0.8>Sm_<0.2>O_<1.9>)電解質の両者に対して、高いメタン酸化活性とアノード反応抵抗の低下による燃料電池性能の向上をもたらした。この効果は、コバルトとニッケルの合金化にともなう粒界抵抗の低減、およびメタンあるいは一酸化炭素の強吸着による電極反応阻害の抑制に、それぞれ起因することを明らかにした。この燃料極基質を用いて、従来の高温焼成法によって得たPdCoO_2粒子,およびPtCoO_2粒子に対するメタンのアノード酸化反応活性化効果を見いだした。平成17年度においては、合成が可能となったこれらの金属酸化物微粒子を、基質に均一に分散担持(高分散)した燃料極を用いて、メタンの完全酸化反応活性による高い燃料電池性能を目指す。
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Research Products
(2 results)