2005 Fiscal Year Annual Research Report
高硬度粒子の繰反し衝突を用いた異種材積層接合とそのナノ組織化による表面改質
Project/Area Number |
16560637
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
原田 泰典 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30218656)
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Keywords | ショットピーニング / 接合 / 表面処理 / 塑性変形 / 強加工 / 加工熱処理 / 合金化 / 拡散 |
Research Abstract |
本研究では、耐食性や耐摩耗性などの金属の表面特性を向上させるため、小径粒子の衝突を用いた異種材料の積層接合とそのナノ組織化による表面改質を試みることを目的としている。今年度は、前年度に引続いて接合状態に及ぼす加工条件の影響について調べた。昨年度に試作した加熱装置内蔵のショットピーニング装置を用い、粒子速度、衝突密度、加工温度などの変化させて接合を行った。積層薄板の接合は、金属表面に数種類の異種金属薄板を重ねた状態でショットピーニング加工を行った。接合状態を評価するために、光学及び走査型顕微鏡による接合部近傍の観察を行った。さらに、接合強度の評価として、接合部への引張り曲げ加工を行い、接合状態を調べた。本研究で用いた基材は、炭素鋼、工具鋼及びチタン合金であり、積層用金属薄板は純アルミニウム、純ニッケル、純チタン、純銅である。小径粒子であるショットは、直径1mmの高炭素鋳鋼を用い、投射速度は40〜80m/sである。投射密度に相当するカバレージは100〜400%であり、また加工温度は室温〜300℃である。今年度に得られた結果は次の通りである。異種金属薄板の積層数や板厚を増加させた場合、加工温度を高めることによって接合が可能であった。とくに、化学的に活性な金属である純アルミニウムをインサート材として用いることは、接合性を高めることに有効であった。積層接合した表面近傍の断面組織観察を行った結果、接合した積層薄板は破断することなく基材に密着している様子が見られた。基材に接合した積層薄板への冷間及び温間ピーニング強加工と熱処理によって、積層薄板間の相互拡散による合金化が観察された。また、接合部の引張り曲げ加工を行った結果、基材との高い接合性が得られた。今後は、得られた知見にもとづいて、接合部における耐食性や耐摩耗性などの表面特性を詳細に行う計画である。
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