2005 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガスレーザーによる電極基板用ニッケル多孔質金属の形成
Project/Area Number |
16560642
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Research Institution | NAGAOKA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
中村 奨 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 助教授 (10217854)
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Keywords | ニッケル多孔質体 / 炭酸ガスレーザー / レーザー焼結 |
Research Abstract |
レーザー焼結を利用した新たなるニッケル多孔質金属の形成技術の開発を目的として、本研究を実施した。平均粒径2.9〜3.6μmの粉末ニッケルに対して、CADデータより得られた2次元断面形状を基に定格出力100WのCO_2レーザーを照射し、断面形状に溶融・固化したニッケル薄層を積層することで、3次元のニッケル多孔質体の形成を行った。焦点はずし量、ビームスキャニング間隔、ビームスキャニング速度、レーザー出力を操作条件とした。 焦点はずし量を大きくするほどビームがデフォーカスとなるので、焦点はずし量の増大とともに単位面積当たりの入熱量は小さくなり、粉末同士の焼結が不完全なものとなった。また焦点はずし量が大きいほど照射部のビーム断面積が大きくなるので、焼結体の空隙率は低下し表面性状は滑らかなものとなった。以上の点から、ビーム焦点は粉末試料表面に置くのが最適であることが分かった。 ビームスキャニング間隔が広がると、ライン状に形成された焼結体同士の横方向の連結が断ち切られ、網目構造が分断された。そして焼結体は粉末粒子の残る球状構造となった。これよりビームスキャニング間隔は狭い方が、より細かな網目構造を得ることが分かった。 ビームスキャニング速度とレーザー出力との間には密接な関係があった。ビームスキャニング速度が大きく、またレーザー出力が低い場合には、単位長さ当たりの入熱量が少なく、隣接する粉末同士の焼結が進まず脆い構造体となった。この逆にビームスキャニング速度が小さく、またレーザー出力が高い場合には、単位長さ当たりの入熱量が大きくなるため、粉末が溶け落ち構造体が形成されなかった。したがって、適切な網目構造を持つ粉末焼結体を形成するには最適な入熱量というものが存在し、それはビームスキャニング速度とレーザー出力との組み合わせで決定されるものであった。
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