2004 Fiscal Year Annual Research Report
溶射と鋳造・凝固との複合プロセスにおける技術的問題点の把握とその対策
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16560652
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 武 関西大学, 工学部, 教授 (00067638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 徹 関西大学, 工学部, 専任講師 (80330174)
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Keywords | 環境調和性 / 複合化生産プロセス / 鉛フリー溶射皮膜 / 複合溶射皮膜 / 固体潤滑剤 / CaF_2 / 磨耗量 / 自己潤滑性 |
Research Abstract |
これまでにない機能性、生産性および環境調和性を向上させた金属材料の複合化生産プロセスの開発はきわめて重要である。現在、EUのローズ(ROHS)規制で注目されている鉛フリー軸受材料として、CaF_2を固体潤滑剤とするCu系複合溶射皮膜を造ることを試みた結果を報告する。すなわち、Cu-30mass%Ni合金粉末にCaF_2を0〜30mass%配合して鋼基材に複合溶射皮膜を形成させ、この皮膜中に占めるCaF_2の面積率、皮膜の硬さを調べた。さらに皮膜層中の酸素の分析と円柱状のステップ試験片で基本的な複合化鋳造実験も行なった。その結果によると、CaF_2の配合比が増加すると、組織の画像解析から求めたCaF_2面積は増大する傾向を示し、配合比に対する歩留は概ね60%であった。これは、CaF_2の密度がCu合金に較べて非常に小さいため、溶射時の飛行中にCaF_2粒子が飛散したものと推察される。CaF_2を含む皮膜の硬さはCaF_2の面積率が6%まではCaF_2量の増加に伴って減少するが、それを越えるとCaF_2自身が硬いことから面積率の増加に伴って硬さは増大する傾向を示すことを認めた。CaF_2無配合では皮膜は急冷硬化を起こして硬いが、CaF_2量が増加すると皮膜の熱伝導性が低下し、硬さはCaF_2約6%で最も低くなるものと考えられる。皮膜層中の酸素量分析を行なった結果、酸素量は2mass%以上も含まれていることが認められた。最後にシェル中子に溶射して得られた皮膜を複合化鋳造、すなわち鋳ぐるみ実験を行なった結果、皮膜中の酸素量が高く、鋳物の冷却速度が遅い程ガス欠陥が多量に発生することが認められた。すなわち、皮膜中の酸化物と鋳鉄中の炭素が反応してCOガスが多く発生したものと考えられる。皮膜中に存在する酸化物の事前除去は必須であることを認めた。次年度以降はこの結果を踏まえて複合溶射皮膜を複合化鋳造する予定である。
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