2005 Fiscal Year Annual Research Report
溶射と鋳造・凝固との複合プロセスにおける技術的問題点の把握とその対策
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16560652
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 武 関西大学, 工学部, 教授 (00067638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 徹 関西大学, 工学部, 専任講師 (80330174)
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Keywords | 環境調和性 / 複合化生産プロセス / 鉛フリー溶射皮膜 / 複合溶射皮膜 / 固体潤滑剤 / CaF_2 / 摩耗量 / 摩擦係数 |
Research Abstract |
EUにおいて2006年7月1日からいよいよウィー(WEEE)およびローズ(RoHS)規制が実施される。この実施からEUに輸出される自動車、電気部晶にはCd,Hg,六価のCr,Pbが所定規制値以下でなければならない。しかし、例外もあり、鉛に関しては、鋼材では0.35wt%までの鉛、アルミニウム合金では0.4wt%までの鉛、さらに銅合金では4wt%までの鉛が当分の間は適応されない。このように適応除外になっている元素の見直しは4年ごとに行うとしている。したがって、遅かれ早かれいずれは規制される。しかし現在のJIS規格の軸受用銅合金(CAC600系)や青銅鋳物6種(CAC406)では4wt%以上の鉛を含んでおり、使用することはできない。本研究で行なっている鉛フリー軸受材料として、CaF_2を固体潤滑剤とするCu系複合溶射皮膜を造ることは急務となってきている。 前年度に引き続き、Cu-30mass%Ni合金粉末に配合として、鋼(S45C)基材面に複合溶射皮膜を形成させ、この皮膜中に含まれるCaF_2の面積率、皮膜の硬さおよび引張強さを求めた。CaF_2の面積率が6.15%になると、硬さは減少したが、これはCaF_2によって皮膜の冷却効果が減少したためと考えられる。さらにCaF_2の面積率が増大すると硬さは増大する傾向を示した。これはCaF_2粉末自身がCu-Ni系合金粉末に較べて硬いことが主因と考えられる。皮膜の引張強さもほぼ硬さと同様な傾向を示した。V字溝(V角度:90°)を有する鋼(S45C)基材のV字溝の表面に約0.7mmの厚さになるように、90°のV字溝面に垂直に溶融粒子が衝突するように左右面2回に分けて溶射を行なった。φ12mmの中心をV字溝が通るように加工した試験片2個でシェアーピン(S45C焼入・焼戻し材、φ6.5mm)を挟み付け、シェアーピンの回転数を300rpm一定とした。挟み付ける応力を50kgfとし5分間加え、5段階に応力を増加させ、最大応力250kgfとして磨耗試験を行なった。その結果、CaF_2面積率が増加する程皮膜の磨耗量は減少することを認めた。また、摩擦係数は挟み付け応力が増大するほど減少し、CaF_2面積率6.15%の場合最も摩擦係数が小さく約0.1であった。さらに摩擦面近傍の温度が上昇するほどCaF_2を含む複合皮膜の摩擦係数は小さくなることが判明した。
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