2005 Fiscal Year Annual Research Report
攪拌槽内に生じる流動パターンの動的変化を応用した混合・反応の精密制御法の確立
Project/Area Number |
16560656
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 直人 神戸大学, 工学部, 教授 (50223954)
|
Keywords | 撹拌槽 / 流動パターン / 円筒型テイラー渦流 / 円錐型テイラー渦流 / ダイナミックプロセス / 粒子分級 / 連続乳化重合 / 粒子凝集 |
Research Abstract |
本研究では、撹拌槽内の流動パターンが時間的に変化する現象に着目し、これを工学的に応用して混合・反応の精密制御法の確立を目指すものである。まず、撹拌槽内の循環二次渦流れに着目した。昨年度に引き続き、撹拌槽内の二次渦流れのモデルとして、テイラー渦流をとりあげた。円錐型テイラー渦流では、広いレイノルズ数域で流動パターンが時間的に変化する螺旋状の渦が回転するヘリカルモードに着目した。粒子分散において、小さい粒子は渦内部を通って、最上部のトーラス状の渦セルに素早く到達し、この渦内部に取り込まれる。一方、粒子径の大きい粒子は、渦外縁部にある下向きのバイパス流れに阻まれ、最上部の渦に到達するのに時間がかかる。結果として、最上部の渦では、小さい粒子がより多く保持されることがわかり、新たな粒子分級装置の可能性を見出した。円柱型のテイラー渦流では、昨年度明らかにした粒子分級現象を、さらに詳細に調査し、粒子と流体の密度比が高い場合に分級効率が良いことがわかった。また、軸流を付加することにより、渦外縁部をジグザグ状に流れるwinding flowが生じ、この流れが粒子径の大きい粒子を効率的に排出するので、分級効果が上がることがわかった。反応制御の観点からは、酢酸ビニルの高分子微粒子径の自励振動現象について、反応と撹拌による凝集の効果を考慮したモデルを構築し、解析を行った。一般の撹拌槽内の流動において、槽底から撹拌翼の距離Cと液高さTの比C/T>0.143のとき、二つの循環渦流パターンとなり、C/T<0.143のとき、大きな一つの循環渦流パターンとなることがわかった。C/Tが0.143付近において、層流領域では、乱流領域で観察されるような、二つの循環流パターンが交互に出現する現象は現れなかったが、流れ場に適度な摂動を加えることで、流動パターンを変化させることを将来的には試みる予定である。
|
Research Products
(6 results)