2004 Fiscal Year Annual Research Report
重質油の水素化脱硫時におけるアスファルテンミセルの挙動
Project/Area Number |
16560678
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高橋 武重 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (00177312)
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Keywords | アスファルテン / ミセル径 / 誘電損失 / 脱硫反応 / 触媒活性劣化 |
Research Abstract |
重質油を処理して、ガソリン、灯油そして軽油留分を製造するプロセスは、石油精製の中で最も重要なプロセスの一つである。しかし、重質油中には硫黄、窒素そしてバナジウムあるいはニッケルのようなメタル類が含まれていて、これが上記プロセスに使用される触媒の活性劣化の原因となる。中でも、平均分子量が数千から数万になるアスファルテン中にこれらの不純物の50wt%が含まれている。しかしながら、アスファルテンについては、n-ヘプタンに不溶であるが、トルエンに可溶な重質成分という位置づけしかなく、その実態については、ほとんど分かっていない。 本研究では、既存の流通攪拌槽型脱硫反応器を用いて、深度脱硫におけるアスファルテン分解による触媒の活性劣化挙動を実験的に検討すると同時に原料油および生成油に含まれるアスファルテンのサイズを高温・高圧における誘電率損失測定から求め、活性劣化との相関を得ることを目的として研究を開始した。 中東原油から得られた常圧残さ油を市販のニッケル-コバルト-モリブデン触媒を使用して、脱硫反応を行い、生成油中の硫黄含量から求めた脱硫率が硫黄濃度の1次反応で表されることを示し、また触媒の初期活性劣化とアスファルテン含量の関係を見出した。また、この実験で得られた脱硫率の異なる生成油の誘電損失を測定した。本年度は、常圧でしか測定ができなかったが、アスファルテンミセルの径が測定温度とともに変化することを見出した。さらに、ミセル径は脱硫率とともに減少する傾向を示した。これは、脱硫処理によって、側鎖が切断されたため、分子が小さくなったものと考えられた。以上のように、予定した課題を達成しつつ研究は進捗している。
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